マンガ雑誌は我々昭和40年男にとって、大切な栄養源だった。僕のマンガ史は『小学一年生』に始まり、『チャンピオン』『ジャンプ』『マガジン』『サンデー』の4大少年誌を行ったり来たり渡り歩き、やがてそれらの月刊を絡めていき、自分のなかのマンガ誌全盛期は中学生の頃だっただろうか。成長につれて、『ヤングジャンプ』、『ヤングマガジン』へと移り、さらなる成長を遂げて『モーニング』とともに手にしたのが『ビッグコミック スピリッツ』だった。そしてさらに、『ビッグコミック』と『ビッグコミック オリジナル』を知り、他誌を捨ててこの2誌に絞り込んだのだった。なるほど『小学一年生』に始まった僕は、そのまま小学館ジャンキーとなってしまったようだ。いつの間にか『ビッグコミック』はやめることができたが、いまだに『ビッグコミック オリジナル』を愛読している。10代から始まっていたからもう30年以上の愛読誌であり、おそらく人生でもっともお金を使った雑誌ブランドということになるだろう。
『浮浪雲』『あぶさん』『釣りバカ日誌』『三丁目の夕日』などの長寿マンガは、読み始めた頃から健在で、それに次ぐ中長期連載も充実している。新作からもちょこちょことヒットが出てくるのはさすがであり、すでに長寿マンガと言っていいだろう『黄昏流星群』や『風の大地』なんかも大好きな作品だ。そうそう『深夜食堂』もたまらないね。
去年最終話を迎えた『岳』とともに、泣ける作品として近年賑わしていたのが2005年から連載が始まった『あんどーなつ』である。『ビッグコミック オリジナル』では、これらが未だ新人の部類に感じられるからスゴイ。ところが前号はお休みしていた。これまで急なお休みは記憶になく、誌面を見回しても特にコメントは見つけられなかった。まあ、僕ら世代は『少年ジャンプ』の江口寿史先生が得意技にしていた「白いワニがくる」をさんざん見ていたから、きっとそういうことなんだろうくらいに思っていた。ところが、昨日発売の最新号でも連載を休んでいる。コイツはいよいよおかしいと見回すと、原作者の訃報を見つけてしまった…。
ショックである。浅草を舞台にした超が付くほどの人情物語は、現代とは不釣り合いなほどあたたかく、だからこそ必要なものだと好感をもって応援していた。ターゲットは我々世代が中心だろうから、社会に伝播させたいとの願いがあったと感じながら読んでいた。人情や義理、信頼といった、この世を生きていくうえで本来もっとも大切なはずのテーマを、いつも一直線に描いていた。
まだまだ連載は続くはずだったろうから、お亡くなりになった西ゆうじさんはさぞ無念だっただろう。59歳という若さだ。ファンとしてはただありがとうと静かに手を合わせること、そして、彼が伝播させたかったことを強く胸に刻んで歩いていきたい。