昭和40年生まれの作曲家・斉藤恒芳が、東京・日比谷シアタークリエで公演中のミュージカル『ZANNA(ザナ)』の音楽監督を務めている。
斉藤は7歳よりクラシックピアノをはじめ、9歳で作曲を学び、各コンクールで少年ピアニストとして注目を集めた。その後、東京芸術大学・音楽学部作曲科へと進み、卒業後、1990年にバイオリニスト・葉加瀬太郎やベーシスト・竹下欣伸(たけしたよしのぶ)と共に『クライズラー&カンパニー』を結成し、国内外でのコンサート活動の他、海外アーティストと共演するなどし話題を呼んだ。また、セリーヌ・ディオンの大ヒット曲『To Love You More』においては、日本で放送されたドラマ『恋人よ』の主題歌となった際、デヴィッド・フォスターとセリーヌ・ディオンとレコーディングを行なっている。その他、薬師丸ひろ子や中西圭三、渡辺美里などへの楽曲提供や、さまざまミュージカルの音楽を手がけたり、テレビCMの音楽なども手がけるなど、幅広い分野で活躍を続けている。
その斉藤が、現在、東京・シアタークリエで公演されているミュージカル『ZANNA~a musical fairy tale~』の音楽監督を務めている。同ミュージカルは、2002年にオフ・ブロードウェイに進出し、カントリー、ロック、ブルースとさまざまなジャンルの音楽が散りばめられたキュートでポップなミュージカルとして評判を呼び、ロンドンや韓国をはじめ、70に上るプロダクションで上演を重ねている人気の演目。
物語の舞台は、アメリカ中西部の街・ハーツビル。副題でもある “a musical fairy tale”(=おとぎ話のミュージカル)に表されているように、設定がとてもユニークだ。日本ではとかく「男×女」のカップルが “普通” であり “一般的” で “多数派” で、「男×男」や「女×女」のいわゆる同性愛などは “少数派” と見られているが、同ミュージカルでは、その「同性同士」のカップルが多数派となり、「異性同士」のカップルが少数派となり、異性同士のカップルが “少数派” であるがゆえに周囲からさまざまな差別を受けるという “あべこべ” の世界が繰り広げられる。
昨今、世界では同性同士の結婚が合法化されるなど、“少数派”の人々の人権や権利が確立され、可視化が進んでいるようだが、日本ではまだまだこのようなテーマを題材にしたドラマや舞台などは少ないこともあり、話題を集めている舞台のようだ。昭和40年男の斉藤が音楽監督を務め、舞台にさまざまに散りばめられた音楽にも注目しながら鑑賞してみたい。興味のある人は劇場へ足を運んでみてはいかがだろうか。公演は今週23日(土)まで。
また斉藤は、6月1日(土)・2日(日)に兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホールで公演される音楽劇 綺譚『生田川~能 求塚より』でも音楽を担当する。こちらもあわせて注目したい。
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