昭和40年生まれの演出家・西田シャトナーが作・演出を担当した舞台『遠い夏のゴッホ』が絶賛公演中だ。
西田は多彩な才能を持つことでも知られており、幼少の頃は創作折り紙の世界で活躍。公式サイト(西田シャトナー演劇研究所)でその作品をぜひ見ていただきたいのだが、小学生時代には大人たちを相手に折り紙講習会で講師を務めた他、一枚の正方形をまったく切らずに驚異的にリアルな生物を折り出す作風が高く評価され、折り紙専門誌にも“天才少年”として取り上げられるほどの才能を発揮した。
また、高校時代は、8mm映画製作に没入し、学園祭向けに脚本・監督した15分のパロディ映画は体育館に入り切らないほどの1,000人以上動員するという超高校級の偉業を成し遂げている。90年には活躍の場を演劇の世界へと移し、神戸大学在学中に劇団・惑星ピスタチオを旗揚げし、劇作・劇演出家としての活動をスタートした。
この劇団惑星ピスタチオは、小道具などを一切使わず、パントマイムとパワーマイム(膨大な説明セリフを駆使し場面描写や登場人物の心情を表現する手法)、スイッチプレイ(一人多人数役を次々に切り替えながら多くの役をこなす)などの独特の演出法で観客から熱狂的な支持を得て、やがて劇団の一公演で動員2万人を誇る関西を代表する人気劇団となった(その後2000年に解散)。現在は演劇活動を続けるほか、映画や小説などへも活動の幅を広げている。
その西田が手がけた舞台『遠い夏のゴッホ』は、恋のために命を懸けて運命と戦うセミの若者が主人公(セミ役は舞台初出演となる松山ケンイチ)。せっかちなセミのゴッホは、恋人のベアトリーチェよりも一年早く羽化してしまう。地上に出れば必ずその年に死んでしまうセミの運命に逆らい、ゴッホは再びベアトリーチェと出会おうと必死で生きのびる道を模索する…というストーリーだ。
子供の頃、土の中に6年間いるセミが土のなかで一体どのような気持ちでいるのか、思いめぐらしたことのある昭和40年男少年もいるのではないだろうか。そんなセミの気持ちは、人間は想像をすることしかできないが、そのような部分を西田がどのように演出をするのか、とても興味がある。東京公演は今月24日まで、そのあと大阪へ移動する。ぜひ劇場に足を運びたい。
■舞台『遠い夏のゴッホ』
東京/赤坂ACTシアターにて2月24日まで
大阪/新歌舞伎座にて3月7日~10日まで
[問い合わせ]
東京 ホリプロチケットセンター 03-3490-4949
大阪 新歌舞伎座 06-7730-2121
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