何度かお知らせしてきたとおり、シンガーソングライターの河口恭吾さんが、僕ら世代が夢中になったドラマから流れてきた曲のカバーアルバムを出す。この企画に参加しないかとのありがたい声をかけていただき、ずうずうしくも曲のリクエストやアイデアを述べさせてもらった。プロデューサーの川原さんともども、意見を尊重してくださって、『昭和40年男』にとっては貴重な経験となった。前号ではその経緯について記事をつくり、今号ではほぼ完成に至った時点でのインタビューを掲載予定だ。
09年の10月に創刊して以来、広く世間にコラボしましょうと誘い続け、ラジオ番組を作ったり、イベントを開催したりと少しずつだがカタチにしてきた。そしてやはり継続は力なりで、去年の暮れあたりからありがたいことに声がかかる機会がグーンと増えたのだ。基本的には来るもの拒まずのスタンスでいこうと考えている。それは、騒ぎ好きの僕であることと、まだまだ新参者の『昭和40年男』にとって、異業種とのコラボは知名度アップに繋がるとの姑息な魂胆がないと言えばウソになる。だがなにより、コラボからは想像もしなかった「なにか」が生まれることがあると信じている。
今回の河口さんとのカバーアルバムでは、まずプロデューサーの川原さんと2度も話ができたことだけでも大きな成果だと思っている。これまで多くのアーティストのすばらしい仕事を手がけてきた方だ。功績だけでなくまさに現役バリバリで、音楽がどんな方向へ向かっているのか、向かうべきなのかを教えてくれた。本誌のページではテーマが異なるから前面に出てくる話ではないが、僕の仕事においても参考になることばかりが聞けて大収穫だった。そしてもう1つが、河口さんの歌と向かう真剣な姿勢だ。昭和49年生まれの彼にとって、僕らをターゲットにしてアルバムを打ち込むというのは相当の苦労だったと想像がつく。しかも取り組んだ楽曲が名曲ばかりで、かつ、癖のあるシンガーによるものが多い。そんな曲たちを河口さんの色になるように料理していくのは、例えれば納豆ご飯をベースにイタリアンに変える調理をするようなものである(笑)。その過程の話を本人の言葉で聞けたのは、これまたすばらしい収穫となった。
そして魂胆の話…。今回のアルバムタイトルがズバリ『昭和40年男たちのメロディー』となったこと。さらにジャケットには『昭和40年男』のロゴが踊ることになった。おおーっ、コイツは嬉しいじゃないか。魂胆とはしたが、これらは僕からの懇願ではない。河口さん本人や、ワーナーサイドからのアイデアに乗っかった格好で決まったものだ。これこそ「なにか」かもしれない。僕は今回、稚拙だっただろうが多くの提案をさせてもらった。つまりは、情熱を注いだことに応えてくれたと思えばこれほど気持ちいいことはない…、と自画自賛しておこうか。そしてもう1つ、ジャケットのイラストがまた昭和40年男ライクなもので進行していて、これを披露するのはもう少しの時間をいただく。ともかく、念願であった雑誌以外での初パッケージの発売が、もうすぐそこに見えてきたのである。発売後に、もっと大きな「なにか」が起きたらいいなあ。