手塚治虫原作によるアニメーション映画『ブッダ 目覚め』が、今年秋に公開される。3部作で描かれる『ブッダ』シリーズの第2弾に当たり、第1弾は『手塚治虫のブッダ~赤い砂漠よ!美しく~』として2011年に公開済み。
手塚治虫の説明は、昭和40年男には不要だろう。『鉄腕アトム』『ジャングル大帝』『火の鳥』『三つ目がとおる』『ブラックジャック』…。子供時代も大人になってからも、いつも手塚作品は、我々を夢中にさせてきた。
『ブッダ』は、少年漫画雑誌『希望の友』(後に『少年ワールド』『コミックトム』と改題)に掲載に、1972年から83年まで10年以上に渡って連載された。我々がちょうど少年期、思春期に当たる年代であり、心震わせて読んだという人もいることだろう。後に仏教の開祖となるシャカ国の王子・シッダールタの生涯を、独自の物語にして描いた大作だ。発行部数2,000万部を超える大ベストセラー作品であるだけでなく、アメリカ合衆国でも高い評価を受けており、漫画のアカデミー賞と呼ばれるアイズナー賞最優秀国際賞を2004年と2005年に受賞している。
第1弾『手塚治虫のブッダ』は、吉永小百合のナレーションや堺雅人、吉岡秀隆などが声優として出演し、主題歌をX JAPANが歌ったことでも話題を集めた。今秋公開予定の第2弾では、監督は小林敏明、脚本を第1弾と同じく吉田玲子であること以外には発表されていないが、どのようなキャスティングになるのかも大いに注目される。
物語は、出家したシッダールタが悟りの境地に至るまでが描かれる。片目のデーバ、予知能力を持つ少年アッサジと共に苦行林に向かい、目の当たりにした壮絶な死と自ら行なった狂気の苦行などをとおして自然の摂理や魂のつながりを知るという物語。人はなぜ苦しみ、なぜ生きるのか――という永遠のテーマが問われる。
当時とは違う、大人の今だからこそわかるもの、感じるものがある予感のする本作。スクリーンでアニメ映画として『ブッダ』を再び観ることで、あらためて手塚治虫の偉大さを感じられそうだ。2013年秋、東映配給で公開予定。