雪国の方々には恥ずかしい話だが、報道のとおり一昨日の大雪に東京はちょっとしたパニック状態になった。予報が完全にはずれたことが大きく、実際雨が雪に変わってからもしばらく雨の表示になっていた予報が多かった。加えて積雪にまったく慣れていない我々だから、混乱に拍車をかけてしまった。今日になっても写真のとおりの銀世界が広がっていて、街には影響がまだまだ色濃く残っていた。朝はヒールを履いた女性たちが慎重に行軍を進めていて、ちょっと滑稽な光景が広がる。昨夜は仲間との新年会で、よっしゃ奮発だと寿司屋に入ると「築地になにもありませんでしたよ」とは親父さん。お魚さんたちは高速道路の上だろうと笑っていて、せっかくの奮発も少々寂しいショーケースには苦笑いするしかない。宴を終えて街に出るとタクシー難民であふれていて、まるでバブル期のようになっていた。一夜明けてこうなのだから、本当に東京は雪に弱い街である。
ただ最近は、この手の交通パニックが多い。台風で電車が止まって帰宅難民がタクシーに列をなしていることもちょくちょくあり、震災のときも完全に機能は停止した。昨日の宴の相手は、雪が積もり始めて早めに帰宅命令が出たそうだが時すでに遅く、マイカー通勤の者たちはとくにひどい目にあったそうで2㎞進むのに6時間かかったとのことだから、どれだけ道路が麻痺したかってことだ。チェーンをつけたことのないドライバーが都内には多い。これも雪国の方々から失笑を受けそうだが事実なのだ。備えあれば憂い無しとはわかっていても、まず使うことのないチェーンを常に積んでいるか、また積んでいても装着したことがないのだから備えは無いに等しい。街が弱いのはそのまま生活者が雪に不慣れだからである。凍った街でハイヒールを履いていれば転ぶのも仕方あるまい。
震災後に備えを心がけた方々も、そろそろ気持ちが緩んでいるのではないだろうか。僕自身、会社と自宅の再点検をせねばと身構えたのは、想定外の大雪からの教訓かもしれない。