次号で取材させていただく予定のタメ年現役ボクサー・西澤ヨシノリ氏。
取材の打ち合わせと挨拶をかねて彼を訪ねてきた。
「タメ年で、現役ボクサー?」
そう、??でしょ。
辰吉丈一郎選手の話題でご存知かとも思うが、
日本のプロボクシングのルールでは36歳が上限とされている。
10歳近く下で制度上の引退を余儀なくされるという現実のなか
昭和40年生まれで世界のベルトを本気でつかもうとしている男である。
海外でなら抜け道があるってことで、海の向こうで挑戦を続けていて
つい先日の4月24日もオーストラリアで
WBF世界ライトヘビー級世界チャンピオン決定戦に挑んできたばかりだ。
結果は残念ながらTKOで負けてしまったとの情報だけを得て、
今回ライティングを担当する高橋と出かけたのだった。
高橋 「なんか聞きづらい気もしますよね?」
オレ 「そうだよな、この年齢での挑戦は一戦の重みが違うだろうなあ」
高橋 「練習再開していますかね?」
そう、会ったこともない人に電話でズケズケ聞くわけにはいかない。
ましてやこうした微妙なタイミングなわけだから、
とにかく会って目をあわせて話さなければというのが訪問の一番の理由だ。
残酷なようでもあるが、西澤さんが今どんな心境なのかによって
企画を考えなければならない。
電話でないというだけで、ズケズケと裸足で入っていくことには変わらないが
雑誌づくりにはとても重要なプロセスなのだ。
ある意味ひどい話でもある。
人に元気を与える雑誌づくりの現場では、
もしかしたら人を傷つけてしまうかもしれないのだから。
「こんにちは、今日はお時間ありがとうございます」
すごく目のきれいな人で、話が進んでいくと心配はすっ飛んだ。
世界のベルトを必ず巻くと言うではないか。
それだけでなく、今は育てるというモチベーションも大きい。
若い人だけでなく自分たち世代にも教えたいと語る。
事実、訪問したのは彼のレッスン現場は、中高年も多く通っているという。
俺たち世代ががんばらなければ、次の世代がダメになる。
だから彼はボクシングを伝えるのだと語る。
まるで俺の鏡を見ているかのようなセリフに感動し、危うく涙だったよ。
2年前に尊敬するシンガーのシオンさんをインタビューしたときを思い出した。
目が澄んでいて、自分がこれから歩んでいく路を自信を持って語る。
それは本気で信じている道であり、自分を鼓舞している部分も少なからずあると思う…。
とにかく前へと進もうとしている姿勢が痛いくらいビシバシと浴びせられる。
まーた元気をもらっちゃったな。
次号の掲載をお楽しみに!!