お正月に呑みすぎた罰のごとく、火のつくような忙しさで飛び回っている。今日も朝からの打ち合わせを済ませて息を切らして社に戻ると、ぬぁんとカワイイ最新号が届いているじゃないか。おーっ、凛々しい。ラフを何度も確認して、印刷所から届いた試し刷りも見ているのだが、こうしてパッケージとなった本を手にすると数倍よく見えてくる。沖田艦長と青い地球、そして『俺たちを直撃したメッセージ』の文字が組み合わさった美しさは、まるでマグロとシャリとわさびのようだ。するってえと、なめ猫ちゃんはガリってところかね。今年1発目の勝負は、さらなる躍進をかけて全国へと旅立った。
17冊目になるのにまったく変わらぬ興奮を運んでくるのは、やっぱりこの仕事が好きだからなのだろう。頭からペラペラめくりながらリズムをチェックする。完成品になって初めて見えてくる部分もあり、毎度勉強させられる瞬間でもある。「おーっ、やっぱりこの流れでよかった」とか「この企画とこのページは逆の方がよかったかな」などと、完成品とのファーストコンタクトでしっかりつかみたいのは、作った自分自身でさえ初めて開くときが新鮮であり、書店の棚で見つけた方が立ち読みしている感覚ともっとも近いはずだと、ページをめくりながら思案を巡らせる。これ実は、大いなる幸せの瞬間でもある。
関わった人間たちの熱を詰め込んだ完成品が、東へ西へ南へ北へとトラックに揺られながら運ばれていき、人から人へとリレーされる。受け取られた手によって棚に収められた1冊が、偶然にも来店された方の目に留まりその手に取られる。立ち読みを経てやっとこさ店員さんへの手へと渡され袋に詰められ、気が遠くなるほどの長旅を経てやっと読者へと名乗り上げていただいた方の手に渡るのだ。そして、それぞれの生活の時間を割いていただき1ページずつめくられ読み進めてもらう。そんなロマンを考えていると、紙は今後どうだとか、出版の未来はナンチャラといった騒ぎがまったくくだらなく思えてくる。俺たちの仕事をやり遂げたのだとの我がままな達成感にしばし酔うのである。そして僕は今、カワイイ最新号を兄弟たちと一緒に並べてニヤニヤしていたりする。ああ、変態な夜。