あまり裕福な家ではなかった。
だがそれでも、高度経済成長期ゆえの勢いや希望があり
それと少なくとも食うことには困らなかった。
これって十分に豊かではあるのだが、
ご近所にはスーパーリッチな家ももちろんあり、
5段階評価で行くと下から2番目くらいだったかな。
そんな自覚ができたのはずいぶんと大きくなってからで、
幸せな幼少期を過ごしていたのだ。
親父もお袋もご飯をたくさん食べることを喜び、勧めてくれるのだが
いまひとつおかずが少ない日が多かった。
メイン1点勝負な食卓なのだ。
ここら辺がスーパーリッチとは異なるところだろうな。
電気屋を営む我が家の夕食は7時頃から始まる。
職業柄か、ご飯のときのテレビはつけっ放しでいい。
だがあまりテレビに夢中になっているとお袋が切れ、スイッチも切れたが
そこは学習するものである。
6時半ころ、親父が晩酌を始める。
そこには憧れのつまみがつく。
女、子供は絶対に手を出せない、欲しがってもいけない家長の特権であった。
極々たまに余ったからやると言われると、
弟と分け合っていただくのがホントにうれしかった。
長くなったがそのくらいおかずが少なかったということだ。
そんな食卓であるが、ご飯はいっぱい食べないと大きくなれないと言われ続ける。
そこで俺と弟はさまざまな知恵を絞ってご飯をかきこむのだ。
そんな涙ぐましい努力を、不定期でお届けしたいと思う。
目的はなんだって?
あの時代のチープさが出るんじゃないかなと。
それとみなさんの裏技なんかが集まったらおもしろいでしょ。
200くらいたまったら一冊の本ができあがるかもしれない。
というわけで、究極のC級グルメレシピ本の発刊を目指してスタートをかざるメニューは『ポテトサラダ丼』だぁ〜。
ポテトサラダを熱々ご飯にかけてトンカツソースをかけて
軽くグチャグチャと混ぜればできあがり。
我が家は中濃ソースをトンカツソースと呼んでいたが、ウスターでもお好みで。
ご飯の熱々とポテトサラダの冷え冷えを感じられる程度にしかグチャグチャしないのがポイントだ。
完全に一体化したものも変化球としてはありだが、ここは大人のセンスで攻めましょう。
では、今宵の食卓でぜひ楽しんでください。