音楽好きの昭和40年男が、師走に聴くのにふさわしいと思われるアルバムを僕の独断でセレクトして、不定期連載で紹介している9枚目だ。今日の1枚は昭和40年男がという部分ではやや説得力に欠けるが、これほど楽しいクリスマスアルバムはないと僕は思っているからあえて取り上げよう。それと、昭和40年男はこのアルバムに対して、トレンディドラマの主題歌絡みとのチャラいイメージを持っているのではないか。いやいや、これは歌のスゴさをじっくりと楽しめるスゴイ歌集なのだ。今日と明日がもっともよく似合うアルバムであることはもちろん、一家に1枚あって絶対に損はしないアルバムだ。持っていなければまだ間に合う、明日の晩にじっくり聴いてみてほしい。
山口智子様(大好き)の主演ドラマ『29歳のクリスマス』の主題歌となったことで、『恋人たちのクリスマス』が国内で大ヒットとなった。余談ながら94年放送だったこのドラマの設定は、我々とタメ年だったことになる。智子様は1つ上だが、そんなこと気にしちゃいけない(笑)。それにしても当時のフジテレビはスゴイですな。どのくらいのフィーになったかわからんが、当時のマライア・キャリーといったら、世界セールスで3,000万枚を超えた『ミュージック・ボックス』をリリースした直後であり、どっから見ても世界のトップに君臨するシンガーだった。7オクターブの声が出るとの衝撃的なキャッチコピーどおり、低いところから高いところまで気持ちよく上がっていく。その音域を活かして歌うクリスマスソングの数々は、どれも夢見心地にさせてくれる。マライアの魅力はその音域や歌唱力とともに、リズムの楽しさも大きい。パンチやエッジというより滑らかなリズムで、音域同様にまるで自由自在に泳ぐようにリズムを生み出すとでも表現すればいいだろうか。そう、フィギィアスケートのようなリズムってのも当たっているかもしれない。収録された『サンタが街にやってくる』や『もろびとこぞりて』あたりがわかりやすいので、感じていただきたい。
このアルバムでなんといってもすばらしいのは、ど頭を飾る『きよしこの夜』だ。こんなにいい曲だったのかとうなりながら余韻を楽しんでいると誰もが知ってる『恋人たちのクリスマス』が始まって、ハッピークリスマスってな気分が盛り上がること。一家に1枚としたのは、どんなに歳をとってもこのハッピーな気分を忘れないようにしないといかんなってこと。それと子供に聞かせるのにもいい。こういう歌のうまさを、幼少からよく知っている歌で肌感覚で理解するのは教育上きっとよろしい。
と書いている僕は、去年同様オフィスに泊まり込みのイブで、明日も間違いなく帰れないだろう。大好きなアルバムながら宝の持ち腐れ状態がずっと続いている。いつかコイツを聴きながのイブを過ごしたいものだが、年末進行がこの世にある限り無理だろう。去年と同じく、イブの晩餐は立ち食いそば屋ですませたのだった。だってね、中途半端にいいもの食うとよけいに寂しくなるから、かえってあきらめがつくようにと立ち食いそばがいい。次々とやってくる客たちは、クリスマスなんか関係ねえやとがんばる仲間にみえてくる。今年もかけそばがしみ渡ったぜ。人の数だけあるいろんなイブに、メリークリスマス!!