(vol.16の) 発売から2週間が経過した。アマゾンのランキングによる動きが、前号ほど派手じゃなかったからちょっと心配だったが、書店での動きは順調だとの報告を受けた。これは大型書店に入っているPOSシステムが、問屋さんと直結しているから得られるもので、僕らは「初速」と読んでいる。発売から1週間の販売データで、これによって最終の販売率の予測が立ち、それが大きく外れることはほとんどないから、ひとまずホッとしたところだ。
今回のようにネットでの動きが鈍くても、書店の動きがいい場合がよくある。表紙だけで買っていただける力がある場合に、ネットランキングがはねあがるようだ。これまでだと清志郎さんを起用した号と、松田優作さんで飾った前号がもっとも勢いよく動いた。雑誌タイトルと特集内容などを表す文字、色などの組み合わせにより悩みに悩んで作った表紙だから嬉しいが、ネット販売ではキャラとインパクトの勝負になるようだ。というのは、ほとんどの購入者が実際のサイズより小さなサイズで見て決めていることだろう。すると今回 (vol.16) のような白地で、しかもビジュアル要素が多いものは苦戦を強いられるということだ。
『昭和40年男』は現状、ネット販売は書店の1割にも満たないから、対策はとくに考えていない。悩み抜くのはあくまで書店対策であり、実際に棚に突っ込んで判断することも多い。ただ、もしも将来的にネット販売の比率が書店と逆転するなんてことになったら、大いに変わることだろう。たとえば今回の素材だったら、涙をのんで上段に使った赤の車両はカットして、下段に使った風吹裕矢とポルシェに絞り込んで大きくしたことだろう。レコードがCDに一変した瞬間に僕らは立ち会った。あのときにジャケットの重要度が減ってしまったように、書店からネットへのシフトはそのくらいの変革を強いられることになるだろう。キャラとインパクトの強さだけが、勝負の行方を左右する要素となってしまうのだ。その日がいつ来るのだろうかと、震えている今日だ。