そろそろ来日じゃないかなんて、何げなく調べてみたらなんと9月の末にブルー・ノート東京でライブが行われていたじゃないの。ウギャーと叫んだところでもうどうにもならん。次に来るのを期待しよう。
昭和40年男とリッキーの出会いは、デビューアルバム『浪漫』に収められた、昭和54年のヒット曲『恋するチャック』だろう。僕もその1人であり、土曜日の午後の名番組『ダイヤトーンポップスベストテン』で、DJのシリア・ポールさんからプッシュされた曲である。カッチョいい曲だなと強烈な印象を残したものの、当時はポップスに…、というよりそのカテゴリーにいるミュージシャンには興味は持てず(ロックじゃねえとダメなんだと狭い男でした)、レコード購入なんかまったく意識しないままスルーしたのだった。
19歳の頃、一緒にやっていた大阪のギタリストからリッキーの名を聞いた。「むっちゃ歌のうまいおばはんがおるんや」と、貸してくれたカセットテープがリッキーのセカンドアルバム『パイレーツ』で、ラジオから流れてきて強烈な印象を持ったあの日を思い出す、劇的な再会となったのである。19歳の僕はもう音楽だったらなんでも吸収する柔軟さとどん欲さを持ち合わせていたから、途端に虜になった。現在、僕のCDラックの中で大勢力を誇る枚数が並ぶリッキーである。
余談だが、ここのところ途絶えてしまっているブログ連載企画の『懐かしの名盤ジャンジャジャカジャーン』でボブ・ディランを取り上げようと聴きなおしているのだが、なんせ多いから手こずっている。今日こいつの筆を進めながら、リッキーを間にはさもうかななんてふと思っていたりする。
多くの昭和40年男にとって、リッキーは僕と同じように『恋するチャック』のみをなんとなく覚えているといった存在かもしれないが、それはもったいない話であると声を大にする。とんでもなく不良な10代を過ごし、19歳でデビューすると全米3位の大ヒットなったシンデレラだが、自由奔放というキャッチコピーで語られることが多い自由人である。10代で完成した癖はそうそう抜けないのだろう。だが、自分の歌をごまかすことは決してなく、大切にしながら生きてきたのはカッチョいいったらない。
僕にとって女性シンガーの最高峰にいるのは、ジャニスと越路吹雪とリッキーの3人がキラキラと君臨している。共通するのは自由奔放との言葉が似合う、生活も少々荒れ気味なところだ。ジャニスはストレートなロックスタイルで、リッキーはジャジーなポップスと、その音楽スタイルはまったく異なるものの、歌の根本にあるものはすごく似ていると感じさせられる。女性シンガーの中でもっとも内面を歌に乗せて突き刺してくることが、まるで瓜二つのようだ。よーし、この辺をもっと掘り下げて『懐かしの名盤ジャンジャジャカジャーン』に展開するか。
晩秋の夜長をしっとりとしたものにしてくれるリッキーの歌は、昭和40年男の胸にジワジワと入ってくること間違いなしだ。それにしても来日を見逃したのが悔やまれる。僕らの年齢だったら、ブルーノートとビルボードのスケジュールはキチンとチェックしないといかんね。
自分は、最近ニコレット・ラーソンの1stがヘビロテです。
そんな彼女も他界されてたんですね。
ニコレットラーソンも『ダイヤトーンポップスベストテン』から仕入れたシンガーで、僕も大好きでした。ちょうど最近ベスト盤を、秋の夜長用に買ったところですよ。