イタリア・ミラノで開かれている世界最大級のモータサイクルショー『EICMA(ミラノショー)』において、オーストリアのバイクメーカー・KTMが『390 DUKE』と『690 DUKE R』を発表した。
DUKEシリーズはKTMのストリートバイクブランドだ。KTMといえば長らくオフロードバイクブランドとして認知されてきたが、94年に発表された同社初の本格的なストリートバイク『620DUKE/400DUKE』がDUKEシリーズの原点となっている。ビッグボア、ショートストロークエンジンがもつレスポンスフルでスパルタンなパワーユニットが最大の特徴で、今回発表された『690DUKE R』はその4世代目となる。一方、2011年に『125 DUKE』を、2012年には『200 DUKE』を投入し、小排気量にもそのラインナップを広げて大きな成功を収めている。
『390 DUKE』はDUKE ファミリーのうち、ミドルレンジに投入される全く新しいモデルだ。パフォーマンスと軽さのバランスを極めたスポーツシングルモデルという位置づけ。もちろん国内なら中型免許で乗れるのもうれしい。その設計思想は“軽量かつハイパワー”という実にシンプルなもの。燃料満タン時でも150kg未満と125ccクラスのサイズとウェイトでありながら、最大出力44馬力を発揮する新設計の375ccDOHC単気筒4バルブエンジンを搭載。しかもたったの36kgという重量でありながら、DLCコーティングされたロッカーアーム、鍛造ピストン、ニカシルコーティングされたシリンダーなど、その作りは極めて本格的だ。シャシーには兄弟モデルと同様、トレリスフレームとアルミダイキャスト製スイングアームを組み合わせてコンパクトなボディを実現している。これにブレンボ製のディスクブレーキ、ボッシュ製9MB ABSが組み合わされている。
一方の『690 DUKE R』は、『690 DUKE』の高性能バージョンとして、新たにラインナップされるファン待望のモデルだ。「ヨーロピアンジュニアカップ」に参戦したレーシングマシンと同様に味付けされたシャシーとサスペンションが搭載されている。スタンダードモデルよりバネレートが上げられ、ダンピングも締め上げられたサスペンションは、サーキットでのシビアなライディングに対応するだけでなく、ワインディングをゆったりと流すような走り方にも対応するという。フロントには新設計のフルアジャスタブル倒立フォークを採用。伸び側(右側)と圧側(左側)を左右に振り分けることで別々のセッティングが可能なばかりでなく、軽量化も果たしている。また、WP製リヤショックは外部にリザーバタンクを備え、ハイ/ロースピード時の調整に対応するなど、広い調整幅を持っているのが大きな特徴だ。また、ラジアルマウントとなったブレンボ製の最新ブレーキキャリパーは、強力なストッピングパワーと共にすぐれた初期応答性を発揮するという。これに後輪のロックやスライドを積極的に操作できるABSが組み合わされる。まさに“R”の車名に恥じないレーシングなモデルに仕上がっており、専用のアクラポビッチ製サイレンサーがそれをさり気なくアピールする。こちらはすでに公式サイトでも発表されており、価格は121万8000円となっている。