世間を騒がせている『週間朝日』と橋下さんをめぐっての問題は、夕べの『浅草秘密基地』でも大きな話題になった。先週発売の問題となった号は完売状態で、騒ぎを知って文春と一緒に手に入れようとした先週木曜日はときすでに遅く、内容は読めていない僕だ。記事内容うんぬんの話はここでは書けないのが情けないが、紙の世界に生きるものとして怒りは大きいので愚痴の1つでも述べさせていただこう。
1週間前の新聞広告には、高らかなる宣言が踊っていた。
「緊急連載スタート」「救世主か衆愚の王か」「渾身の同時進行ノンフィクション」「橋下徹本人も知らない本性をあぶり出すため、血脈をたどった!」などなど、強烈な言葉が並び、タイトルは大きく『ハシシタ』とあり、黒バックに橋下さんの顔が大きく掲載され、この号のメインコンテンツであることを主張していた。表紙も同じく黒バックにドーンと橋本さんの顔である。僕らだって表紙にはいつも悩み苦しみむが、メインコンテンツで勝負するのが読者さんには伝わりやすい。現在発売中の最新号で、松田優作さんに登場願ったのは、今回の主役だと位置づけたから。同じく、先週の『週刊朝日』にとってあきらかにこの記事がメインだったとの主張だろう。
内容について様々な議論がなされているところを見ると、考えさせられることが多い。だがそれ以前の問題として、これだけの大見得をきって連載宣言して、たった1週間で取り下げる姿勢は大問題でないか。だったらなぜスタート時に検証のうえストップしなかったのか? エリート大新聞社の子会社なのだから、何重ものチェック機能はあったはずで、それでも「いく」と判断したから出したはずだ。不適切な内容を承知の上で出したのに、重圧に押されて敏速すぎる対応をしている。しかも今回はノンフィクションを名乗り綴り始めたのにもかかわらず、こんな変わり身を見せるのはひどくないか。そんなんだったら、そもそも初めから手を出すなである。3倍以上の発行部数を誇る文春を眺めながら、安易にやってみただけと思われて仕方ない。また、新聞ブランドを名乗っていると、所詮こんなものだと思われて仕方ないだろう。結果的には、紙離れに拍車をかけるだけの行為だったとしか思えない。
東電の際にもブランドマスコミ社は精神の弱さを露呈したばかりで、今回もまったく然りだ。発売からたった1週間で、見開きを使ったお詫び文が最新号のモノクロページ冒頭にあり、経緯検証といったなんともカッチョ悪い、キレのない言葉が綴ってあった。今朝の朝刊における広告にお詫び掲載との記載はなく、1週間前の広告に比べるとサイズも小さく迫力ある文字は影を潜めていた。これではますます読者が離れていく。