昨日は、東京六本木に5年前にオープンしたインテリジェントビルに入る目玉施設の1つ、ライブスペース『ビルボード東京』に出かけてきた。次号の『ガツンひと言、兄貴の説教』に登場していただく、リチャード・マークスさんのライブがあったのだ。余談ながら、すばらしくおしゃれなスペースにまったく似合わない僕だった。
現れたのはつい先日インタビュー取材したままのリチャードさんだった。ナチュラルと形容すればいいだろう、気負いのまったくない佇まいでステージ中央に立った。49歳とは思えないスリムな体は、自分の体たらくが恥ずかしくなる。きっと相当の努力を重ねていることだろう。アコースティックギターを持ち歌い始めると、ハスキーでありながら甘い声が飛び込んできた。明日に『ビルボード大阪』でのライブを控えているからセットリストは控えておくが、いやはやキラーチューンを持っていることの強さをまざまざと見せつけられた。
彼が大活躍したのは80年代の後半で、ブルース病にむしばまれていた僕は彼の音楽を追いかけてない。だが僕を含めておそらく、昭和40年男たちのほとんどに彼の名曲はすり込まれているはずだ。その数々が丁寧に奏でられる。海外ミュージシャンで、たまに崩しまくるシンガーと出くわすことがあるが、彼はとにかく丁寧に名曲のままで届けてくれる。知らない曲も多かったが、シンプルなコード進行に乗せられた美しくてわかりやすいメロディは胸に突き刺さる。人柄が伝わってくるようなあたたかな演奏が続いた。MCがタップリあって、英語が理解できない僕の横で今回のライティングを担当する川俣は笑いっぱなしだった。意味はわからないものの、ここでも彼の人柄というかあたたかさは十分に感じ取ることができた。
たった1人での弾き語りライブだった。ギター、ピアノ、そしてビデオを使いながら変化をつけ続け、そのアイデアには感心させられっぱなしだった。フフフ、後日の僕自身のライブでも参考にさせてもらおう。
客層はまさに僕ら世代が中心で、若いヤツなんかほとんどいないステキな結界(!?)が出来上がっていた。そう、昭和40年男は真剣に紡ぐ音楽のすばらしさを知っている。本物の音楽が多かった時代に10代を過ごせたことはなんと幸せなことか。ただ売れることだけを目的にしたものが多数を占めるようになってしまった現在の音楽シーンでは、将来ビルボードに来て音楽を心から楽しめる40代は育ちにくいだろう。そんな危機感までを感じさせたのは、彼のストレートな音楽の素晴らしさゆえだ。
11/4に同じ場所での工藤静香25周年ライブに行きたかったのですが、仕事のため無理でした・・・。