本誌vol.11の『タメ年のスゴいヤツ』に登場してくれた狂言師・野村万蔵が10月8日に公演する『萬狂言』に出演する。
万蔵は和泉流狂言師で人間国宝・野村 萬の次男として生まれる。歴代当主が“野村万蔵”を名乗る野村家は、300年の歴史と伝統を誇り、江戸時代には加賀前田藩のお抱え狂言師として活動し、明治維新後は東京で狂言の名家としてその名を馳せて来た。そして、次男であった万蔵は、2000年に、明治時代に絶えていた万蔵家の分家である『野村与左衛門家』を150年ぶりに再興し、『二世与十郎』を襲名する。しかし、2004年に万蔵の兄が死去したことに伴い、翌年に『九世野村万蔵』を襲名し、本家の当主となった。以降、万蔵は狂言界の先端に身を置きながら国内での活動はもとより、海外公演や、タレントの南原清隆(彼も昭和40年生まれ!)と現代狂言を開催するなど多彩な活動を展開している。
その万蔵が10月8日に出演するのは『萩大名』。この狂言演目は、長らく在京していた遠国の大名が、訴訟が無事に済み暇をもらい、ある茶屋の萩の花が盛りの庭を見物しに行くのだが、そこで和歌を詠むことを求められ四苦八苦するという物語だ。万蔵が演じる大名の愚鈍さや、それと対照的な利発な太郎冠者との関わり、下克上の息吹を感じる展開がおもしろいといわれている演目である。
“狂言”と聞くと、難しく観てもわからないんじゃないかと、取っ付きにくさを感じる人もいるかもしれないが、実際に観てみると、決して古くさくも難しいものではなく、理屈抜きで楽しめる愉快な芝居だ。まだ観たことのない人は、この機会にぜひ足を運んでみてほしい。
また、この日は、家族で狂言を楽しめるようにと『ファミリー狂言会』の上演も予定している。同会は、子どもの頃から日本の伝統芸能に触れ、情緒豊かな大人になってもらいたいと企画されたもので、プログラムは、狂言についての解説にはじまり、新作『鳴大家守』と『附子』を鑑賞した後は、狂言たいそう(狂言の動きをマネをする体操)で締めくくられる。こちらもあわせて参加してみてはいかがだろう。
■萬狂言 秋公演
日時:10月8日(月祝)
開演:午後2時30分
会場:国立能楽堂
■ファミリー狂言会
日時:10月8日(月祝)
開演:午前11時
会場:国立能楽堂
※詳細は『萬狂言』公式ホームページで確認を。
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