大編集後記その十一。忌野清志郎さんのセレクト。

今週末にどこまで販売が伸びるだろう? 勝負の3日間となるだろうなあ。頑張れ最新号!!

今回の巻頭特集『俺たちが影響を受けた男たち』の清志郎さんのページに、ジャケット4枚がさりげなく掲載されている。昭和40年男にとって強く色を放ったという視点で、悩みに悩み抜いて僕がセレクトしたものだ。自分の好みよりも、特集タイトルにふさわしいセレクトをしようと思うからこその悩みだったのだ。清志郎さんのアルバムで個人的にもっとも好きな1枚は『BLUE』で、かつてしつこく語らせてもらった

『BLUE』は『ラプソディー』の毒々しさを残しつつ、ビックアーティストの仲間入りを果たしたかのような仕上がりで、大好きな曲ばかりで構成されている。なのに外したのは、おそらく昭和40年男にとっては『ビートポップス』の方が聴いた方が多いだろうとの考えでだ。82年春の資生堂のキャンペーンソングで、衝撃的なプロモーションフィルムによって話題をさらった『い・け・な・いルージュマジック』でオリコン1位を獲得した。さらにその夏には『サマー・ツアー』をヒットさせた直後の秋にリリースされたアルバムであり、僕らにとってRCがもっとも輝いていた頃に発売されたのが『ビートポップス』だ。『ラプソディー』からここまでの4枚は、時代をつかんでいく勢いであふれていて、『宝島』によってグイグイと僕らに押し込んでくれた頃だろう。サブカルからメジャーへと一気に駆け上がった激動の2年を象徴する意味で、このアルバムセレクトにした。

一方シングルからは、10代の男の子の胸に突き刺さった歌詞の魅力で『トランジスタ・ラジオ』を選んだ。授業、屋上、タバコの煙、そしてベイエリアやリバプールから名曲を運んできてくれるトランジスタラジオと、シンプルな言葉で作り上げられた世界はリアリティあふれている。いつ聴いても、気持ちよく寝転んでいる目の前に漂うタバコの煙が、青空にとけていく絵が浮かぶ。

もう1曲は、清志郎さんが天下取りに名乗りを上げたキッカケとなったから『い・け・な・いルージュマジック』にしたが、これもかなり昭和40年男全般を意識してセレクトしたものだ。お茶の間を大激震させた記憶に強烈に残っているのではないだろうか。

『雨上がりの夜空に』と『スローバラード』を外したのは、シングル盤よりも『ラプソディー』の方が好きだから。もしもこのページに、編集長の独断でおススメするアルバム&シングルとのタイトルがついていたら、『僕の好きな先生』になっていただろう。とまあ、こんなことで一晩さんざん悩んで決め、皆様にお届けしたのである。ご感想やいかに?

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