昭和40年生まれの絵本作家・塚本やすしが、エッセー集『猫とスカイツリー 下町ぶらぶら散歩道』(亜紀書房)と『介護のえほん だいじょうぶだよ、おばあちゃん』(講談社)を出版した。
『介護のえほん だいじょうぶだよ、おばあちゃん』は子ども向けに介護や高齢者との関わり方を描いた絵本で、物語は、田舎に住んでいるおばあちゃんがケガをしてしまい、歩けなくなり、孫たちだけでお見舞いに行くという設定で展開される。
塚本は同作で絵を担当しているのだが、塚本自身ホームヘルパー2級の資格を得ていることもあり、絵の根底にはしっかりとした裏付けがありながら子どもが楽しく読めるような温かいものになっている。
一方の『猫とスカイツリー 下町ぶらぶら散歩道』は、スカイツリーのお膝元・墨田区出身の塚本が、ツリーの足元に広がる路地裏を散策しまとめている。
散策途中で立ち寄った台東区蔵前の居酒屋でアニマル浜口に気合いを注入された話や、黒髪を粋に結い上げた芸者風美女を追って釣られて入った墨田区東向島のパン店のこと、90歳のおばあちゃんが一人で切り盛りする江東区門前仲町の駄菓子店の話など、下町育ちだからこその視点で切り取った気取らない町の様子が描かれている。下町散策の手引き書に、興味のある人はぜひ手にとってみてほしい。心地よい秋風の吹きぬける下町の路地裏は、きっとどこか懐かしく、新たな発見もあるにちがいない。
■profile/つかもとやすし
1965年、東京・墨田区生まれ。絵本作家。幼少より独学で絵を学び、長新太や吉田カツの審査により『ザ・チョイス』が 入選。著書に絵本『このすしなあに』『はしれ!やきにくん』(ポプラ社)、『このおっぱいだあれ』(サンマーク出版)、エッセイ『猫とスカイツリー 下町ぶらぶら散歩道』(亜紀書房)など多数。訪問介護員(ホームヘルパー)2 級、障害者(児)居宅介護者2級課程終了している。