スズキは、減速時エネルギー回生機構『ENE-CHARGE(エネチャージ)』と、蓄冷材を通した冷風を室内に送る『ECO-COOL(エコクール)』の開発を発表した。9月に発売予定の新型『ワゴンR』に搭載される。
『ENE-CHARGE』は、減速時の運動エネルギーを電気に変えて充電する減速エネルギー回生機構で、蓄えた電気を走行に必要な電装品に供給することで、発電によるエンジンの負担を軽減し燃料消費を抑制する。
既存のアイドリングストップ車専用の鉛バッテリーに加え、効率よく充電できるリチウムイオンバッテリーを搭載した同社独自のシステムで、より多くの電気を蓄えることができるという。従来の約2倍の発電能力を持つ高出カのオルタネーターを採用し、必要な電力の大部分を減速時に集中して発電し、2つのバッテリーに効率良く充電する。これによって通常走行時は、2つのバッテリーに充電した電力を電装品に供給し、オルタネーターの常時発電を最小限に抑えるので、エンジン負担を軽減し燃料消費量を抑制するとともに、加速も軽やかになる。マツダは同様の考え方でキャパシターを使ったシステムを構築したことは先日伝えた通りだが、スズキはより廉価なシステムに仕上げてきたところが特徴。
一方の『ECO-COOL』は、アイドリングストップ中も車室内に冷風を送るための機構だ。
これまでエアコンは消費電力が大きく、アイドリングストップ中は停止せざるを得ず室温が上昇しがちであったが『ECO-COOL』は快適性を保ちながら、エンジン再始動時間を遅らせることで燃料消費を抑制する効果がある。エアコン空調ユニット内のエバポレーターと呼ばれる、冷媒の気化によって冷却を行うエアコン部品の中に短時間で凍る蓄冷材を採用。アイドリングストップ中もこの蓄冷剤によって室温を快適に保つというわけだ。停車時の結露によるカビが気になる所ではあるが、暑い日が続く夏にはありがたい機構といえそうだ。
これら2つの機構は、9月に発売予定の『ワゴンR』の他、開発中の軽自動車にも積極的に採用していくとのこと。軽自動車は我が国独自規格ながら、自動車のコンパクト化、コミューター化はグローバルな流れでもあり、日本の技術を活かしやすい分野ともいえる。より快適でより低燃費な新型『ワゴンR』にも期待がかかる。