僕らが高校生の頃、『メリー・クリスマス・ショー』という特番があったのを記憶していないか? 当時のロック系のミュージシャンが勢揃いでやる、超豪華なクリスマスパーティのようなどんちゃん騒ぎ番組だった。各アーティストごとに趣向をこらしてつくり込んだカバー曲を次々に披露していくのだが、その選曲や演奏のおもしろさに、ブラウン管に食い入るように見ていた。まだビデオがなく、当時しばらくご無沙汰していたテレビ音源エアチェックをした。
チャーさんが1人でドラム、ベース、ピアノ、ギターを重ね取りして歌った『ジャンピン・ジャック・フラッシュ』や、中村雅俊さんの『りんご追分』、こんなんよくゴールデンタイムに流したなとのえげつない歌詞を乗せた『テイク5』とか、すべてにジョークとトゲがある作り込みがされていた。キヨシローさんが跳ねまくってやった第9もメチャメチャカッコよかったなあ。
昭和61、62年と放送されたが、翌年は昭和天皇のご病気で自粛したと聞いた覚えがあるが、真相はわからない。ともかくたった2回だけ放送された驚愕の音楽番組は、今では絶対に不可能だろう。ああいった遊び心が通用していた時代だからこそ放送された奇跡の番組だ。
この番組の締めくくるのが、松任谷由実さんと番組のために共作した名曲『Kissin’ Christmas』で、出演者たちで合唱する。ふざけまくった番組を締めくくるにふさわしい名曲で、ABメロを各自で回していき、サビを合唱する『ウイ・アー・ザ・ワールド』のような作りになっていた。この名曲がなんと、先日発売された桑田さんのソロベストアルバムに収録されたのだ。四半世紀以上の時間を経て、なぜレコーディングすることになったのかはさだかでないが、長年待ち続けた曲が聴けることになり早速購入した。あの番組を記憶している昭和40年男には、きっと価値ある1枚だろう。
実はこの曲、録音テープから音と歌詞を拾って10年ほど前にレパートリーに加え、12月になるとアチコチで歌っている。いい曲ですねと尋ねられると得意になって「昔、メリークリスマスショーという番組で桑田さんと松任谷さんで共作した、レコーディングされていない曲なんです」と、歌にお値打ち感を出せた。だがおそらく今年の12月には、この曲がアチコチから聞こえることになるだろうし、もしかしたら今年のナンバーワンクリスマスソングになるかもしれない。いや、きっとなるだろうから、今年からはただのカバーソングになってしまう。これはちょっぴり残念だったりする…。
覚えてます。
出演者が豪華かつひねりの効いた演奏が記憶に残ってます。
そして『Kissin’ Christmas』のシングルがなぜか自宅にあります。
しかし再生する機器がない。
宝の持ち腐れです。
おお、やはりいました。うれしいです。そのシングルはおそらくサンプル盤だと思われます。この曲は発売はしておらず、ラジオと有線放送用にプレスされたお宝じゃないかなと。今年のクリスマスはこの曲がパワープレイされるでしょうから、そのシングル盤は数百万円で取引されるかも(笑)。