いよいよ発売が明日に迫った。詳しい内容はこちらを見て頂戴。今号も盛りだくさんでお届けしているので、ぜひおつき合いいただきたい。
さてさて、発売日までのカウントダウンでお届けしている大編集後記だ。そもそも昨今の雑誌で編集後記をつくっているところは珍しく、ウチの場合最終ページを使ってお届けしている上、こうしてもう6回目のぼやきまでもお届けしているのだから、どんだけしつこいのかと突っ込んでみたくなるが、巳年だから仕方ない。勘弁してくだされっ。
連載特集の『夢、あふれていた俺たちの時代』は、昭和59年を取り上げた。多くのタメ年たちが人生の大きな曲がり角を迎えた歳だ。中学を卒業して働く者が、今よりもまだ多かっただろう。僕の同級生でも何人かいて、なかには騎手になるといい今も現役で活躍する者もいるが、ほとんどが高校へと進学していった。そして昭和59年3月に大学、就職、浪人、プータローと大きく4つの道へと別れた。最も多感な時期を越え、大人へと舵を切り始めた年だろう。
人生の進路の差異は大きかったが、興味対象のメインはどの道を選んでもそう大差なかったかもしれない。当時の男の子たちの興味を最も強く引きつけたのはおそらくクルマだろう。そこで今回はトヨタの『MR2』を4ページに渡りフィーチャーした。この辺が安心して展開できるのは編集金子によるところが大きく、副編小笠原もまたクルマには一家言持っていて、ケンケンガクガクとよいページへと向かっていくから、僕はただ笑顔で頷きながら見てるだけでOK。ラクチンラクチン。この年はバイクシーンもおもしろくてページを多く割くのにふさわしいモデルが多く存在するのだが、いかんせん多くのタメ年たちにとって興味の中心から外れていただろう。昭和40年男はバイクブーム洗礼をもろに受けた世代だが、高校時代にもっとも熱くなり、18歳になった瞬間にその興味はクルマへと移っていった世代でもある。バイク関連の仕事が多い僕には昭和59年といえばNSRであり、FZ400Rであり、そしてニンジャである。どれも十分にページを作る価値はあると思うのだが、それはバイク業界人ならではの感性だろうなとグッと堪えたのだった。
19歳にとってクルマは興味のど真ん中であり、おそらく眺めてはため息をついたカタログを、ページのメインビジュアルに使った。このコピーがスゴイ。「背中には ふたりを酔わせる ハートがある。 日本初、ザ・ミッドシップ。トヨタMR2」だってさ、キャー。こんな世界に憧れ、クルマへの夢を膨らませたのだろう。女の子にしか興味がなかった僕には記憶の片隅にもないが、書き手の金子が当時の喧噪ぶりを掘り起こしていて、皆さんはきっと懐かしく感じることだろう。
マハラジャのオープンの年でもあり、これも取り上げようと手を尽くして当時のチーフDJの長谷川さんの取材が実現し、僕もインタビューに立ち合うことができた。麻布十番という、当時陸の孤島のようだった場所に突如オープンして話題をさらった。とはいえ、そんなトレンドスポットに行けるはずもなく指をくわえていた僕だが、この歳になって当時の証言を、卓を任されていた本人から聞けたのはなんとも不思議な体験だった。バブルの階段を登る象徴のような驚愕の話が次々飛び出し「ああそうそう」と、噂を思い出しながら頷いていた。ディスコブームの変革を知ることになるページの大見出しには、『1984年はディスコの歴史が変わった年…』とつけられている。踊ったアホも、そうじゃないアホにも必見のページとなった。いろいろ詰め込んで680円で、さあ明日発売だ。