世界平和を目指すプロミュージシャンを志すことにした俺は、
ときを同じくして、バイト先ですばらしい先輩と出会った。
「ミュージシャン、ましてやソングライターとして生きていくなら、
自分を磨かなければならないよ」
とすごいことを言われた。
だらしない格好や態度でつっぱらかって
「俺がロックなんだよ」とか「ブルースってのはさ」
なんて言っているのがカッコイイと思っていたのに、
その人は絵画などの芸術にたくさんふれろと言う。
映画を観て小説を読めと言う。
これにはまいった。
まるで先生じゃねーか!
でも、がんばって言われたとおりにした。
アパレル関係のデザイナーを目指すこの先輩こそが、
長いことミュージシャンばかりをヒーローとして崇めてきた
俺のヒーロー観を変えてくれたともいえる。
また、俺自身がヒーローを目指すという自覚が芽生えた。
だって、スーパーアイドルブルースロックマンになるのだからねぇ。
というわけでこの長かった物語も終わりにしよう。
ここからの俺のヒーローはあまりにも自分寄りで、
書き続けていっても共感するところが少ないだろう。
興味がある方は酒でも呑みながら語り合いましょう。
東京荒川区の下町で育った男の子は、
いつも心にヒーローを抱き、さまざまな変化を経てきた。
そして高3のときにできあがったヒーロー観は、今も変わらない。
すばらしい先輩や仲間、
心の美しさが文章からあふれ出ている作家、
取材や仕事を通して出会った方々などなど
俺にとってのヒーローは次から次へと現れ、そして大きな影響を与えてくれる。
もちろんすばらしいミュージシャンたちは、
今も変わらずヒーローです。
どうしてもトップをあげなさいと言われたら…、
うーん、やっぱりキースなのかもしれない(笑)。
えっ、なんでお前はミュージシャンじゃなく編集者なんだって?
人生はね、すべてが思い通りにならないからおもしろいの。