あれだけ事前に騒いだのだから、この話題に触れないわけにはいくまい。今年も感動を運んできてくれた箱根はご周知のとおり、駒大の “男” 大八木監督が男のまま有終の美を飾った。おめでとう。
序盤からおもしろい展開で、目が離せないとはこのことだと感じさせられた。そして正直に言おう。4区から5区にタスキが渡った時点で、僕が推す青学優勝を確信した。というのも、当初エントリーされていた “若の神” こと 若林選手が、体調トラブルでのメンバーチェンジだとは知らなかったから、得意の原マジックを繰り出したのだなと勝手な推測をした。きっとぶっ飛ばす。逆に駒大の1年生起用には「酷だぜ、大八木さんよお」と思っていたらありゃりゃ、ズルズルと後退していくではないか。結局2分ものマージンを献上してしまった。原さんが1分半なら十分に取り戻せると豪語していたから、翌日の6区で30秒、あわよくば40秒詰めれば優勝圏内で、9区の 岸本選手がMVPになると信じていた。が、5区以上にズルズルと差をつけられて、なんと5分の後退になってしまった。
見事なのは、駒大がこの重要区間を1年生2人に任せたことだ。一方の青学は両区とも4年生で、7分も差をつけられてしまったから、この時点でお手上げである。4年生ががんばる姿を見せて、1・2年生が引っ張られるように活躍するのは、まるで強い時の青学である。今回の完璧な勝ちっぷりも、まるで去年の青学を彷彿とさせた。
意地を見せてくれたのが、9区に入って本来であればMVPを獲得するはず (しつこいっ) だったと予想した岸本選手で、あの気合はすごかった。感動的な走りで、3位まで押し上げてそのまままとめるのだからさすがと言うべきだろう。あれだけの大ブレーキがあっても、この結果というのはやはり選手層の厚さに他ならない。だが来年に向けてと考えると不安なのが、今年のチームが4年生に頼りすぎていたことだ。駒大は計算できる山が、1年生によってもたらされた。これなら大八木監督も安心してバトンを渡せる。だがしかし、へこたれない原監督は、昨日より来年の箱根を見据えているはずだ。2位の中央も来年は優勝争いにバッチリと入ってくるだろうし、國學院も悔しい気持ちを振り払うようにスタートを切っているはずだ。100回記念大会を大いに盛り上げていただきたい。と、気が早すぎるな。