ムーンライダーズが1982年リリースのいわくつきな名盤『マニア・マニエラ』『青空百景』を再現したライブを開催。公式レポート公開!

おはこんばんちはです。「S40ニュース!」をお送りします。

ムーンライダーズ
「アンコールLIVE マニア・マニエラ+青空百景」を 2022年 12月25日 (日) に 東京・恵比寿ガーデンホールで開催しました。

このライブは、今夏 7月16日 (土) に ビルボードライブ東京で行われた、1982年のアルバム『マニア・マニエラ』を再現したライブのアンコール公演。今回は、やはり同年に発表されたアルバム『青空百景』の再現も加えた、二本立てでの公演となりました。
 


アルバム『マニア・マニエラ』は 1982年 12月15日のリリース。LPレコードやカセットテープでなく、同年10月に登場したばかりで、まだ珍しかったCDのみで発売されました。これは、当時のレコード会社が作品を “難解!” と断じて発売中止を求めたのに対して、先鋭的なCDというフォーマットでの発売に踏み切った結果でした。

しかし、実際にプレスされたCDは200~300枚ほどとも言われ、ほとんど流通することはありませんでした。後にカセットブック (冬樹社 / 1984年)化されたり、ポニーキャニオンの T.E.N.Tレーベルから再発 (’86年) されたことでようやく一般に知られるようになった、ムーンライダーズの中でもいわくつきの問題作 (?) なのです。

そして、今回のライブで再現されたもう一枚が 1982年 9月25日にリリースの『青空百景』。発売日は『マニア・マニエラ』よりも前となりましたが、制作時期はこちらの方が後で、二枚のアルバムは奇妙にねじれた関係に。このため、ライブでの演奏順も『マニア・マニエラ』→『青空百景』という形がとられていたとか。
 
  
…といったワケで、だいぶ前置きが長まりましたが、この再現ライブのオフィシャルレポートが、日本コロムビアから公開されました。以下に抜粋・一部編集してご紹介します。

“現存する日本最古のロックバンド” と言われることもあり、長い活動期間の中で音楽スタイルも様々な変遷を経てきたムーンライダーズですが、’80年またぎのテクノ・ニューウェイブ期のファンの方はゼヒご一読を。

また、来春3月発売の新アルバムについても触れられているので要チェックです!
 

 
moonriders(ムーンライダーズ)、
1982年発表の名盤2枚を再現するライブを開催!

 
冒頭、コンサートにおける表示ボードの説明影アナ (音声アナウンス) が入る。場内が暗転すると客席中央に鈴木慶一がギターを抱えて登場。その場で「鬼火 (1979) 」の一節を歌うと、ステージ上で自作の変態楽器、ギタギドラを操る白井良明とこの日のゲストの Open Reel Ensemble の3人にスポットライトが当たる。白井は「×」と書かれたボードを掲げる。これはクラッピングの合図だ。観客もこれに倣って拍手する。2組が繰り出すアブストラクトなサウンドが流れる中、真っ白な衣装に身を包んだムーンライダーズのメンバーが登場。ステージ上段の上手 (右側)から鈴木慶一、武川雅寛、白井良明、夏秋文尚にキーボードの 佐藤優介 (カメラ=万年筆)。下段下手 (左側)から 岡田 徹、澤部 渡 (Skirt) 、鈴木博文にゲストの Open Reel Ensemble と 矢口博康 (Sax) が並ぶ。

<第1部 / 『マニア・マニエラ』編>

ドラムのカウントが入り、おもむろにアルバム1曲目「Kのトランク」が始まる。2曲目の「花咲く乙女よ穴を掘れ」では、もう1組のゲストであるチェロの四家卯大とヴィオラの志賀恵子が入る。

アルバム「マニア・マニエラ」は TR-808、MC-4 や プロフェット5といった当時の最新電子機器と、人力の楽器演奏を組み合わせて録音された作品。使用楽器が最先端過ぎて難解といわれた所以だが、7月の再現ライブではシーケンサーを使わずに人力の演奏にこだわった。今回のアンコール・ライブでは “ライダーズがさらに攻めた” 。前回と同じ手法を使わず、元のサウンドを解体し再構築。さらに今回ゲストに加わった Open Reel Ensemble がノイズやSEにストレンジな音全般を請け負った。もはや残ってるのはボーカル・メロディぐらいで、想像の斜め上をいくリビルド・ライブだ。これほど解体されると、オーディエンスにとってはむしろ清々しい。発表から40年を経た現在のムーンライダーズからの解釈にリスナーも興奮を隠し得ない。

「気球と通信」や「ばらと廃物」では観客のスマホライト点灯の合図である「□」ボードが掲げられると、ステージの照明が落とされると客席はホタルの海となり幻想的な光景に転じる。「バースディ」では、故かしぶち哲郎が、ガラス板を叩いてサンプリングしたシーケンサー音源を使用。かしぶちと現メンバーの時空を超えた共演が実現。ここまで来るとアルバム・ラストの「スカーレットの誓い」ではどんなアレンジの演奏で驚かせてくれるのか? と想像と期待を膨らませるファンを “いい意味” で裏切り、あえての “普通” のバンド・アレンジで演奏し第1部『マニア・マニエラ』編を締めた。
  

<第2部 /『青空百景』編>

蝿の飛び交う音がループで流れるインタールードの中、メンバーは真っ白な衣装から各々が思うファッションに着替えて再登場。前回のライブ (9月24日@人見記念講堂) に参加できなかった 岡田 徹 の弾くピアノで始まったのはアルバムの SIDE-1 /1曲目の「僕はスーパーフライ」。『青空百景』は先進過ぎた前作『マニア・マニエラ』(発売はこちらが後) の反省 (?!) を踏まえて制作された。コンサートでも第1部で見せたアブストラクト性は影を潜め、メンバーを中心とした “バンド” での演奏に徹する。もちろん、各曲はオリジナル盤とは違ったアレンジは施されているのだが。

象徴的なのは第1部の『マニア・マニエラ』編で縦横無尽に飛び回った Open Reel Ensemble が、第2部では17曲目の「アケガラス」に参加したのみ。本アルバムには、白井良明が書いた人気鉄板ナンバー「トンピクレンッ子」が収められている。アルバム曲順どおりに演奏されているから、観客も前の曲から準備。演奏されるや場内は大爆発。声こそ出せないがサビでは右腕を掲げて身体で応援。この日いちばんの盛り上がりを見せた。『青空百景』ラスト・ナンバーは、こちらもファンの間で人気の高い「くれない埠頭」。白井良明が「□」ボードを上げると、オーディエンスもメンバーもスマホライトを一斉点灯し、左右に振りながら曲を彩った。最後は鈴木博文がマイクから離れてアカペラで歌ってステージを降りた。
 

<アンコール&新アルバム発表>

本編でアルバム2枚全曲を演奏したので、エンディングは冒頭、鈴木慶一が歌った「鬼火」の続き。1979年 5月 に発表した5枚目のアルバム『MODERN MUSIC』に収められたムーンライダーズ屈指の名曲だ。曲の後半は3分以上に及ぶ各メンバーのインプロビゼーションを披露。

鈴木慶一によると、3月15日 (水) にリリース予定の新アルバムは、この “インプロビゼーション” 。今年6月、スタジオに2日間籠もって10時間超に及んだ “インプロビゼーション” を録音&編集したものになるという。『9ヶ月前のハプニング!』というタイトルも、なんともムーンライダーズらしい。また「皆さんの要望ありましたら、来年、この2枚をアンコールでまたやるかも」と話すと客席が沸く。もっとも「同じことはやりませんが…」と付け加えてはいたが。

文: 石角隆行

 
(「昭和シリーズ」 “Web担当A” ) ※文中敬称略
 
 
[以下、日本コロムビア  ニュースリリース より ※12/28付]

◆リリース情報
2023年 3月15日(水)
moonriders「Happenings Nine Months Time Ago/ in June 20」

品番:COCB-54351 ¥3,300(税込)
 
 
2022年 12月25日(日)
P.K.O(Panta Keiichi Organization)

M1,「クリスマスの後も」
M2,「あの日は帰らない」

https://pko.lnk.to/christmas
 
 
12月3日(土)
ムーンライダーズ+佐藤奈々子 / 「Radio Moon and Roses 1979Hz」
品番 : COJA-9475 ¥4,620(税込)
DISC: 通常盤、黒色

A面
1. スイマー
2. スタジオ・ミュージシャン
3. コインランドリー
4. ブラックペッパー・ジェラシー

B面
5. 女友達(悲しきセクレタリー)
6. マイ・ネーム・イズ・ジャック
7. 火の玉ボーイ
8. ジャブ・アップ・ファミリー
 
 
ムーンライダーズ /「MANIA MANIERA」(マニア・マニエラ)
品番 : COJA-9476 ¥4,950(税込)
DISC: 重量盤、赤色

A面
1. Kのトランク
2. 花咲く乙女よ穴を掘れ 
3. 檸檬の季節
4. 気球と通信
5. バースディ

B面
1. 工場と微笑 
2. ばらと廃物
3. 滑車と振子 
4. 温和な労働者と便利な発電所
5. スカーレットの誓い
 

 
◆ライブ情報
moonriders  アンコール LIVE
マニア・マニエラ + 青空百景
日時: 2022年 12月25日(日) 開演 18:00
会場: 恵比寿 The Garden Hall
 
 
◆HP
OFFICIAL WEB
http://www.moonriders.net

日本コロムビア HP
https://columbia.jp/moonriders/

ムーンライダーズ公式Twitter
https://twitter.com/moonriders_net
 

 
◆プロフィール
1976年のデビューから45年以上のキャリアを誇るロックバンド。現在のメンバーは、鈴木慶一(Vo,G)、岡田 徹(Key,Cho)、武川雅寛(Violin,Trumpet)、鈴木博文(B,G)、白井良明(G)、夏秋文尚(Dr)。70年代前半に活躍した「はちみつぱい」を母体に、1975年に結成される。1976年に 鈴木慶一とムーンライダース 名義でアルバム「火の玉ボーイ」でメジャーデビュー。翌1977年に ムーンライダーズ として初のアルバム「MOONRIDERS」を発表し、以降コンスタントにリリースを重ねる。1986年から約5年間にわたり活動を休止したが、1991年にアルバム「最後の晩餐」で活動を再開。つねに新しい音楽性を追求するサウンドは、同年代だけでなく数多くの後輩アーティストにも影響を与えている。また、各メンバーが積極的にソロ活動も行い、それぞれプロデュースや楽曲提供など多方面で活躍中。
 

 


 
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