それにしてもずいぶんと長い物語(?)になっちまった。
そもそも昭和40年男にとってのヒーロー観でスタートしたのだが、
音楽につかまっちまったうえに
さらにプロミュージシャンという夢を掲げてしまったものだから、
ヒーローが自分の音楽史とオーバーラップしてしまう。
それにしても、仕事でもないのに
我々のあの当時の音楽に対する見事なまでの集中力は
大したものだなと思う。
ミュージシャンを目指したということが大きく関与していることも否めないが、
そうでないリスナーに徹していながら夢中になっている同級生もすごく多かった。
俺たちにとって音楽は、とてつもなく大きな存在であり、栄養だったよね。
これはきっと共通認識だろう。
と、やや言い訳くさい前置きをしながら物語に戻ると、
高2の秋にギタリストが加入したおかげで、歌うことに自分をシフトできた。
キース・リチャーズという絶対的なヒーローが存在するヴォーカリストという、
ややいびつなヤツだが。
多くのブルース、ソウル系のアーティストを聴き込み、それをまねて歌う。
キースをまねる。
でも自分で書く曲は、もうちょいと甘いというか、いなたい感じが出ない。
「クラシックで音楽に目覚めて、クイーンでロックに目覚めたから、
どうしても出てくるメロディラインが甘くなるんだ」
と、才能のない自分を棚に上げてクイーンを憎んだりしたバカな俺がいた。