しつこい巳年は、今日も元気に最新号 (vol.76) のご紹介、大編集後記をお送りする。昭和55年を切り取った第2特集の『夢、あふれていた俺たちの時代』は6つの現象を記事にしていて、そのトップがジョン・レノンでアンカーはRCサクセションである。共通しているのは、社会への強いメッセージと平和への願いだ。
ライブアルバム『RHAPSODY』がリリースされたのが昭和55年だった。6ページを注ぎ込んだ記事ではあるものの、おそらく読者さんの多くはこのアルバムを知らないだろう。高校時代のクラスでも、RC支持は完全なる少数派だった。が、捕らわれた者は逃れることが絶対にできない、強烈な魔力を持っていた。サウンドはもちろんのこと、やはりキヨシローの歌唱によるところだ。友人は彼の歌を「くさやの干物」と称した。あの食い物も、好きになったら離れられないそうだ。僕も同じく、徐々にその毒にハマっていき、いまだにピタッと寄り添い離れることができない。
高校の時にクラスメイトだった、翔んでる女の子がRCの大ファンでサブカル女子だった。その彼女がある日、互いに大好きな「いい事ばかりはありゃしない」の歌詞に出てくる月光仮面について「意味わかる?」と聞いてきた。好きな曲なのに意味がわかっていなかった僕は、よくよく考えれば情けない話だ。「わからない」と答えると「月経のこと」と教えてくれたのには驚いた。知ってはいた言葉ながら、女の子から白昼堂々とそう言われたことにドキッとしたのをハッキリと記憶している。と、そんな想い出まであるRCだ。
『RHAPSODY』はずいぶんと聴き込んだ。オープニングの「よォーこそ」や続く「エネルギー Oh エネルギー」、ラストの「キモちE」はやや難解 (!?) だったが、マグマのように突き上げられるエネルギーは、もうサイコー!! としか言いようがない。
記事は、当時のディレクターの森川欣信さんに話をうかがっている。人気の出る前から見ていた男による、ブレイクに至る話はファン必見である。いや、ファンならずともこの記事には痺れていただきたい。というのも、このページの大見出し。これは僕も声を大にして言いたい。
『RHAPSODY』以前と以降 日本のロック史はここで分かれる。
特集した「ニューミュージック」の終焉となる現象を作った、大きな一つのファクターなのかもしれない。一冊のほぼ最後に掲載していて、見事な連動・構成である。きゃーっ、自画自賛!!