アウディは、カーボン製フレームを持つスポーティな電動自転車のプロトタイプ『Audi e-bike Worthersee』を5/15に発表した。
まずはその概要を紹介しよう。全体に低重心化が図られているフレームは、アウディらしいデザインで、単体重量は1.6㎏と軽量だ。このフレームに組み込まれたリチウムイオン電池は530Whの容量を持ち、重量は5㎏でフル充電まで2.5時間という性能。後輪を保持するスイングアームにもフレームと同様にカーボン繊維強化ポリマー(CFRP)が用いられており、さらに平たいスポーク部にも同じ素材が使われている。また、フロントフォークは、130mmのストロークをもつエアスプリング式の極太倒立フォークだ。
電動モータはフレームの最下点、おそらくはクランクの付け根あたりに配置され、チェーンを介して後輪を駆動する。後軸には油圧作動式の9速変速のディレーラーを持ち、これを介して後輪に供給される最大トルクは250Nm、最大出力は2.3kWと異例のハイパワー。このハイパワーを受け止めるべく、前後ともに油圧式のディスクブレーキを採用している。
フレームのトップチューブに配置されたオンボードコンピュータには、タッチスクリーンが採用され、ここではモード選択の他、走行速度、距離、バッテリーの充電や消費量、傾斜角の状態を表示できる。そして、ハンドルバーとサドル部分にはLEDライトが埋め込まれており、回り込んだライトデザインが特徴的なサドル部分は、写真では固定式のようにも見えるが実は位置調整が可能だという。またがってボタンを押すだけで、適切な位置に調整されて快適なポジションを得ることができ、しかも乗車中でも、ハンドルバーコントロールで調整することができる。
走行時は、以下の5つのサイクリングモードを選択することができる。
<Pure>
人力のみの通常の自転車と同じモード
<Pedelec>
人力にモーターアシストが加わるモード。最高速度はなんと80km/hも可能で、航続距離は50~70km程度
<eGrip>
モーターだけで走るモードで、最高時速50km/h
<Wheelie>
前方または後方への動きをモーターが補正することにより、ウイリー時のバランスを維持するモード
<Training>
体力を維持するためのモード
モーターアシストの加わるモードでは、グリップシフトでスロットルを制御し、さらにコンピュータを使用して、必要に応じて電力を設定することができる。また、各モードの詳細はスマートフォンを利用して、または直接設定することも可能だとか。
まさに最先端技術が盛り込まれた、未来的なスポーツサイクル。ウイリーモードを使うと誰でも簡単にウイリーできちゃうのだろうか。興味津々である。すべての自転車好き、クルマ好き、メカ好きの注目を集める一台といえそう。販売についてはまったくの未定とのこと。ぜひ欲しいけど、高そうだなぁ。