13周年記念号 (vol.76) はいかがだろう。今回の特集は「ニューミュージック」で、表紙から巻頭とアリスが目立ってはいるが、しつこい 巳年の『昭和40年男』だもの、当然ながらこれでもかっとページを組み込んでいる。「きみの朝」を大ヒットさせた岸田敏志さんが、アリスより特集のバトンを引き継ぐ。
東京下町にあった我が中学では、「きみの朝」がヒットチャートを快走している中、ちょっと下品なギャグが横行した。サビを「モミモミ」と歌うのだ。僕は 中2に上がっていた。女子はいざ知らず、男子はまだまだ男女の世界の何たるかを、100%理解できている者は少数派だったと思われる。少なくとも、僕はそうだった。うとい男子でも、兄やとくに姉がいるヤツと僕のように弟がいるヤツとでは、この辺の成長は大きく異なる。上がいればそこに引きずられるから早熟になるのはあたり前田のクラッカーであり、僕が逆なのもしかりだ。が、さすがに中2だから「モミモミ」が男女の営みであることは知り得ていた。って、何の話じゃ。
「ニューミュージック」という言葉は、昭和40年男が高校に上がる頃にはあまり聞かなくなっていたのが特集のキモだ。だが俺たちがローティーンの頃は、新しい流れの音楽が全てここに集約された。ユーミンもアリスも、原田真二さんや久保田早紀さんなんかも同じ鍋に放り込まれたのだ。そこには吉田拓郎さんもいるのだから、今考えればずいぶんと乱暴な話だ。そしてそんな、何でもありで刹那な現象が『昭和40年男』編集部は大好きだ。つかみ取って、時代の空気をパッケージするように組み立てるのである。
さてさて、今回の岸田さんのインタビュー3ページでは、驚愕のメディアミックスを知ることとなった。そこまでやるのか。当時の仕掛け人たちとはなんと痛快なのだろうという、ヒットに隠された工夫を知ることができた。知恵を絞って物事を前進させるのは、今も昔も変わらぬ仕事マンのパワーなんだな。あの爽やかな歌声には似つかわしくない、努力の汗が現場にはあったのだ。感じていただきたい。ぜひっ!!