発売したばかり の『昭和40年男』総集編『興奮の おもちゃ&プラモ大全』がどうやら好調のようだ。表紙にプラモ「ウォーターラインシリーズ」の戦艦大和のパッケージを起用したわけだが、その要因というか片鱗というかが、編集後記に込められている。公開しよう。
親父から誕生日に、「一緒に作ろう」とタミヤの戦艦大和を買い与えてもらったことがあった。おそらく、今もラインナップされている「1/350 艦船シリーズ」だと思われる。大きなボディに興奮しながら、家業の店を閉めた後に少しだけ夜更かししていい土曜日の夜、親父がメインで組み立てていった。が、さすが 僕の親父だ。途中で飽きてしまったのだろう。段々と箱は開かなくなり、「今日はやろうよ」と嘆願するものの、のらりくらりと逃げられてしまい、とうとうこのスーパープラモデルは完成しないままどこかに葬られた。ちょっぴりさみしい、今となっては笑える昭和の原風景である。
「ウォーターラインシリーズ」は大好きなプラモで、何艘も組み立てた。もちろんこの大和だってそうだ。が、その倍のサイズのプラモが手に入ったわけで、とてつもなく大きく感じられた。その完成を楽しみにしていたし、一緒に組み立てるビッグプロジェクトに心踊らせたのになんてひどい親父なんだ。まあ、今ならわからなくもない。
親父は夕飯時に軽く晩酌をする。電気屋だった我が店の営業は9時までだったから、故障などの緊急の呼び出しや来客には対応していた。そして店を閉めると寝酒となる晩酌をするのだ。編集後記どおり、翌日が休みで夜更かしが許されている土曜日に組み立てるルールになったのだが、毎日9時に店を開けて12時間営業して、唯一のお休みとなる翌日に向かって普段より酒の量もきっと増えちゃったりしただろう。買った時こそやる気MAXだったかもしれないが、下がってきたらあの大量の部品を晩酌しながら組み立てるのはきっとかったるいはずだ。と、今なら理解しつつ、もうずいぶん以前に天に上った親父に感謝の気持ちが強くある。買ってやることの喜びを子供心に感じていたことは、モノのなかった時代を生きた親父の戦争体験と結びつけることができる。そしてそれは、大人世代全体に通ずる気持ちで、だからこそ注いでくれた愛が俺たち世代の元気の源なのだ。ありがたや。今回の総集編は、当時の大人たちの愛を思い起こしながら読んでいたただきたい。ぜひっ!!