花の82年組が今年40周年を迎え、各所でアニバーサリープロジェクトが企画されているなか、先日は “永遠の夏色の恋人” 早見 優が新曲入りのベストアルバムを発売。そんな彼女のデビュー時のキャッチフレーズは “少しだけ オトナなんだ…” でした。
“少しだけ オトナなんだ…”
早見 優(以下、優ちゃん)における芸能界入りは、デパートでのスカウトがきっかけである。と言ってもそこら近所での話ではなく、ハワイのホノルル地区にかつて存在した三越デパート内での出来事となる。何やらこの時点で陽光がサンサンと降り注ぐ絵面が脳内生成され、バカンスモードへ大突入しそうになるが、正気を取り戻して話を進めることにする。
そのスカウト劇は、優ちゃんがピアスの穴開けをした日に起きたという。かねてよりオシャレ目的でのピアッシングは切望していたものの、母上からは「14歳になってから」と言われていたらしい。その言いつけを守り抜いたうえでの施術の帰り、母上と立ち寄った同デパートのエレベーター内にてスカウトされたのである。母上からは「ピアスの穴を開けると運命が変わるよ」とほのめかされていたそうだが、ソレがまさしく起きたのだ…。しかも効果テキメンすぎるほどに! 優ちゃんの魅力が光線状となりスカウトマンを導いたのか? それが真まことであるならば「誘惑光線・クラッ!」そのものであり、クルクルミラクルな現場の目撃者になってみたくなる。タイムマシーンにヒョイと乗りこみ「あの頃にもう一度」が実現可能であるならば…の話になるが。
優ちゃんがハワイからやってきた帰国子女であることは広く認知されるところ。が、オギャーと産声をあげたのは静岡県の熱海市であり、そこで3才まで過ごした後のハワイ移住だったことは失念されがちだ。生え抜きのロコ(=生まれも育ちもハワイを表す語)ではないため、頭ン中のデータを上書き保存しておこう。
優ちゃんのキャッチフレーズは “少しだけ オトナなんだ…” 。
幼少時に親しんだ音楽はドリス・デイやアンドリュース・シスターズなどの古きよきナンバーで、その影響はジャズシンガーだった父上とのこと。ハワイ時代に好んで聴いたのはもっぱら洋楽で、カーペンターズの曲がお気に入り。日本のアイドルで好きだったのは山口百恵とのことなのでガキンチョ風情は希薄だったことがうかがえる。また、日本で活動を始めた頃は生意気だとよく言われたと振り返る。コレはおそらく英語圏で育った証のようなもの? その言語特有の、YesとNoをハッキリさせる物言いがそのような印象を周囲に与えたのかもしれない。言い換えれば ♪恋かなYes! 恋じゃないYes!的な「夏色のナンシー」風の所作とも言えるか。また、ザ・日本のアイドル的なフリツケや歌い方についても首をかしげざる得ないことが多く異論を唱えたとか。このような背景から顧みるに、優ちゃんがクールでオトナびた印象で異彩を放っていたのは確かと言えそうである。そういう意味でも “少しだけ オトナなんだ…” は的を射ているのではなかろうか。諸々書き連ねてしまったが… ♪Baby 私の言ってる意味~言ってる意味~わかるでしょう? ネッネッネッ。
現在は歌の仕事やタレント業の傍ら、松本伊代ちゃんとのコラボでユーチューバーとしても活動する優ちゃん。他、外国人向けとして世界で放送される英語の料理番組でホストを担うなどグローバルに活躍中なのだ。♪If you love me~ 夏色の恋人… むむっ?「If=もしも」とおっしゃいました? だとしたら滅相もございません。こちらとしては淀みなき I Love 優 のまま、これからも優ちゃんを応援し続けることを心に誓う筆者なのであ~る。
【『昭和40年男』2022年 8月号/vol.74 掲載】
文・資料提供: チェリー(CHERRY★CREEK)
チェリー(CHERRY★CREEK)/ 昭和アイドルフリーク。日本テレビ『有吉反省会』ネタ出し係、FMおだわら『ラジオ歌謡選抜』レギュラー、ネット配信『昭和サブカル打ち上げTV』出演、サイト『Re:minder』コラム執筆、ビクターCD「レアトラックス」解説担当など。