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「七音がDORONJOになっていく。
そのなかで、正義の定義が変わっていく」
■ボクシングの撮影のために肉体改造
池田エライザがストイックにボクシングのトレーニングに打ち込み、時に血を流しながら試合に挑むシーンも見どころだ。強烈なパンチを浴びて顔を歪めながらも、強い眼差しで敵を見据え、俊敏なフットワークで相手を翻弄し、パンチを繰り出す。
「撮影自体、アクションシーンが多くて、とてもハードでした。役作りをするに当たって、今では信じられないぐらい、当時はボクシングに夢中でしたね。いかにボクシングに特化した身体に改造できるかが大事だったので、どんどん猫背になりましたし、肩など、普段付かないところに筋肉が付いたりと、身体が順応するまでには時間がかかりました」と苦労を語る。
「撮影の合間にワンカットでも空きがあればボクシングの練習でした。なぜか制作チームに、ボクシングの経験者や、アクション俳優さんや、ムエタイの強い人などがいて (笑) 。お兄さんたちがグローブを持ってきてくれて、『ミット打ちやる?』って。基礎を守りながら、一つひとつ、動作をていねいにするよう心がけました。ワイヤーなどを使わない泥くさいアクションや殴り合いに挑戦しているので、観ていただく方たちにも、一緒にヒリヒリしていただけるかなと思います」
■世界が間違ってんだ。正しく生きる必要はない
ドラマのなかで七音は全く笑うことなく、終始、シリアスなムードが続くが、エンターテインメント要素はバツグン。1話ごとに、正義と悪、勝者と敗者が入れ替わっていくようなスリリングなストーリー展開は観るものを飽きさせない。「脚本も時代に合わせて何度も変わっていった」そうで、現代社会が直面するさまざまな問題が提起されている。
七音は、ボクシング技術を教え込む父と2人だけでボロ小屋に暮らし、日々の食事もままならない。一方、アマチュアボクシングの花形選手である愛花は、設備の整った最新鋭のジムで科学的トレーニングを積み、時に気さくな仲間に囲まれながら、その模様をインフルエンサーとして配信していく。七音たちが生きるのは、“持つ者と持たざる者” の差が歴然とあり、日々、“正義” の名のもとにインターネット上で誹謗中傷が飛び交う残酷なまでに厳しい世界である。作中で七音はこうつぶやく。「世界が間違ってんだ。正しく生きる必要はない」。全く救いようのない話にも聞こえるが…。
「3話目くらいまでは七音の生い立ちが特に濃密に描かれるので、ちょっとハードですが、現状を切り開いていくカッコいい姿をお見せできると思います。絶望的な展開のようで、すごく生きるエネルギーと希望を感じていただけるんじゃないかなと。七音が『なぜボクシングをせざるを得なくなったのか』を含め、物語がどんどん進み、ドロンジョになっていくなかで、“正義の定義” が変わっていくところにも注目していただきたいと思います」
令和に生きる一人の26歳の若者として、特に作品に共感する部分はあったのだろうか。
「今の世の中において、自分の人生の選択肢に絶望を感じたりしてる人は多いと思うのですが、大事なのは絶望の淵に立たされても、生きるのをあきらめないこと。私自身、七音に勇気をもらったし、強くなるための執着はすごく大事な感情だなと思いました」
そしてやはり、気になるのは、七音が最終的にどんな姿のドロンジョへと変身を遂げるのかであろう。今のところ、その姿はシルエットが垣間見えるのみに留まっている。ちょっとだけでも、教えてほしいのですが…。
「言えないです、なんにも。最終話まで観ていただくために隠してるんです、ウフフ」
最後の最後で、池田エライザは小悪魔的な表情で微笑んだ。なるほど、これはまぎれもない “ドロンジョ様” である。“令和のドロンジョ” がこの生きづらい世の中で、どんな希望を紡ぎだすのか、しかと見届けようではないか。
■PROFILE: 池田エライザ平成8年生まれ、福岡県出身。2011年公開の映画『高校デビュー』にて女優デビュー。モデル、映画監督、“ELAIZA” 名義でミュージシャンとしても活動。『ぐるぐるナインティナイン』では “ゴチメンバー” として、お茶の間でも愛される存在となっている。10月クールの新ドラマ『祈りのカルテ 研修医の謎解き診察記録』に出演中。 |
▼【第1話 無料配信】DORONJO / ドロンジョ「EPISODE 1 再戦」【WOWOW】
タツノコプロ創立60周年記念 WOWOWオリジナルドラマ DORONJO/ドロンジョ10月7日 (金) より WOWWOWにて放送・配信スタート。 出演: |
(『昭和50年男』2022年 11月号/vol.019
「S50’s NOW 2022」p.134~137より 再編集。
※本記事は、Webでは一定期間のみの限定公開とさせていただきます。)
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