昭和の俺たちにとって、今日は「スポーツの日」ではない。誰がなんと言おうとも「体育の日」である (笑) 。このビジュアルはまさしく10月10日のもので、58年前だ。去年の5月発売号 (vol.67) で組んだ『昭和イベント大全!!』とタイトルした特集の冒頭ページだ。左上に配したのはNHKの名アナウンサー、北出清五郎氏による実況の第一声で「世界中の青空を全部東京に持ってきてしまったような、素晴らしい秋日和でございます」と、まさに名調子である。まだまだ戦争の傷跡はあったものの、この奇跡のイベントに向かって一丸となり復興を早めた。去年のオリンピックでは心の分断が起きてしまったが、昭和39年にそんな空気はほぼなかったことだろう。
体育の日は2000年からハッピーマンデー対象の祝日になってしまったから、今日はリアル体育の日を感じられてよい。そもそも祝日ってのはその日に意味があったわけで、10月10日はなんと言っても東京オリンピック開会の日である。その日を体育の日として祝うのは、日本人にとって復興のシンボルとなった大会の記念日でなくてはならないとおっさんは叫ぶ。さらにさらに、3年前よりスポーツの日になってしまったことも馴染めない… と、くだらないことでブーブー言うなよ、せっかくの体育の日なんだからと自分で自分にツッコんだりして。
そんな体育の日にふさわしい、今日は3大駅伝のスタートとなる「出雲駅伝」である。正式には「出雲全日本大学選抜駅伝競走」で、その名のとおり日本中の大学が出場できる。来月開催の「全日本大学駅伝対抗選手権大会」もそうだが、お正月のお楽しみ「箱根駅伝」は関東学生陸連の主催大会だから対象が限られる。議論が分かれるところで、悩ましいところだ。
さて、これらを3大駅伝とくくってはいるが、かなり異なる競技だと言える。今日は45.1kmを6人で、通称「全日本駅伝」は106.8kmを8人だから、単純計算で1人当たりの距離は6km長い。さらにさらに、注目度の高い箱根にいたっちゃ217.1kmを10人である。短い区間でも20.8kmで、しかもその対象区間は山上りと下りの5・6区という、本当にタフなレースだ。出雲の最長は10.2kmの6区で、後の5人は5.8~8.5kmの間だ。全日本がラストの2人が17.6kmと19.7kmで、残りの6人が10km前後の距離で競う。箱根から見たら双方スプリントレースなのだ。って、書きながらずいぶんと熱くなってきたのは、大学駅伝ジャンキーだからだ。お正月の楽しみである箱根へと向けて盛り上げていくまず今日は、順天堂の三浦選手、東京国際の丹所選手、そしてなんてったって駒沢の絶対エースで、去年3年生キャプテンの重責下でも奮闘した駒大の田澤 廉選手がどんな走りをするかが注目だ。チームでは青学推しの僕は、今年こそ3大会制覇が見たい。が、原監督は例年、箱根をターゲットにしてチームを仕上げていて、出雲と全日本はやや苦戦を強いられる。とくに今日の超スプリントレースは、どう選手がうまく噛み合うかが鍵でミスは寸分も許されない。ああ、とにかくワクワクが止まらない。
と、体育の日はスポーツ観戦に限りますな。ありゃりゃ、スポーツの日に乗せられちまった。身体に悪いから自分で体育なんかしなくていいよ~ (笑) 。楽しく過ごそう、体育の日ですな!!