200年以上続くそば屋の矜持!!

初めての食い物ってのは、還暦上等世代だってのにまだまだあるもんだな。写真は、我が街・浜松町で僕が愛するそば屋の「更科布屋」のメニューで、ずっと気になっていた “そば寿司” である。そしてまずはお詫びと訂正である。この写真、1つ手を出してからの撮影だ (バカ) 。奥にある太巻き3つの上に1つ乗ったレイアウトだったのだが、はやる気持ちが抑えられずについ手を出してしまったのだ。うーっ、マンボっ…じゃない、うまいっとうなった瞬間「しまった」と撮影したものである。いつも気になってはいたが、食事としては手を出しづらい。が、この日は大好きなそば屋呑みを決めこんで、長年の夢のメニューにありつけたのだ。

 

更科で呑むときは “天ぬき” で始める。こちらでは天ぷらと鴨のぬきがラインナップされていて、僕はほぼほぼ天を選ぶ。ご存じない方もいるかもしれないので説明しよう。天ぬきと言っても、抜くのは天ぷらでなくそばを指すのだ。つまり、あたたかいつゆに天ぷらがボンと入っているシンプルなメニューで、呑んべえにはたまらない逸品だ。柚子の風味が効いたいいお出汁と天ぷらを少しずつ口に運んでは、ちびりちびりを繰り返す。なんという至福だろう。ここは極楽浄土かと錯覚するほどである。柔らかな鳥焼きと茄子の南蛮漬けもこの店ではよくオーダーする、意外なほどうまい酒肴だ。

 

と、そば屋呑みでもずいぶん通っているものの手を出さなかったのは、締めの頃になるとどうしても “もり” が食いたくなっちまうからで、この日は絶対にそば寿司にトライするのだと鉄の意志で臨んだのがよかった。とは言えやはりもりへと揺れる心はあったが、いやいや意志は固くおばちゃんに伝えると待つこと少々で来た。公式サイトの お品書きページ に欠けてない写真が出ているからご覧あれ。おもしろいことに、ジャンルはご飯物扱いになっている。うーむ、店主はここに明記するのをさぞ悩んだことだろう。

 

さてさて、そのお味だ。さすが僕のお気に入りの店であるとお伝えしたい。そばつゆと酢が効いたそばが美しく巻かれていて、いなりの中身もそばだ。「やるもんだ、更科」てな気分で涙ぐんでしまった。うまさにというより、その丁寧な仕事ぶりにだ。200年以上江戸の地でご商売をなさってきた矜持を感じさせられ、極めていい気分の席だったとさ。おっさん諸君、ぜひ江戸の旅を楽しんでくだされ。ずいぶんと推しているけど、お金はもらってないからね (笑) 。
 

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