昨日、昭和を盛り上げた男の訃報がまたも届いてしまった。石井いさみ先生が17日にお亡くなりになり、ご家族で葬儀を営んだことを 秋田書店さんが発表したのだ。俺たち世代なら『750ライダー』を知らぬ者はおるまい。「委員長、さぶいですね」というセリフが僕は大好きで、マンガ史に残る傑作名ゼリフだと位置づけている。そしてその先には、美しく可憐な昭和の委員長がいつも天使のようにたたずんでいた、きゅん。
石井先生とは今日の記事を作る以前にも、バイク雑誌の仕事でご一緒させていただいた。かれこれ15年以上前で、もちろん元気元気だった。そして何といっても、あたたかかった。滲み出てくるようなぬくもりが、あの名台詞を書いたのだと思えばすべて合点がいった。キラキラとした瞳も印象的で、少年たちに夢を与えたのは永遠の少年だったという印象を持ち、あの日は気分よく帰路についた。
子供心に、スッと入ってくる “間” のコマの重要性を知り、気持ちがホッとするのをマンガ作品で初めて強く感じさせてくれたのが石井先生だった。当時あだち充さんがアシスタントだったと聞いて、ああ、なるほどとも納得した。あだち先生も多くの “間” をぶっ込んでくれるが、石井先生と異なるのは高校野球マンガにパンチラで作る間が多いことだ (笑) 。
感謝を込めて、ウチが 2013年 の 特集 (vol.20) に掲載したインタビュー記事をメインビジュアルに持ってきているが、その続きとなる4ページも掲載させていただく。最終ページでは、描かれることのなかった『750ライダー』の最終回について、その展開を自ら語っている。じっくり読んで彼のあたたかみを感じていただきながら、哀悼をご一緒できれば幸いである。石井先生、ありがとうございました。