本来は奇数月の11日発売なのだが日曜日で、さらに明日は問屋さんの休配日なものだから、2日前倒しで発売 (vol.75) となった。花金である。そうそう、花金て言葉を使わなくなったのはいつからだろう。コロナ以前には、プレミアムフライデーなんて動きもありましたな。ビリー・ジョエルの名曲「ガラスのニューヨーク」は、“金曜日にパーティをぶち壊し” と歌い出される。1980年のヒットだから中坊だった。ああ、懐かしや。
で、懐かしいとくればやはり『昭和40年男』の得意技である。今回の表紙の写真は思わず「懐かし〜い」と声に出てしまうのではあるまいか。そして同時に、うらやましさも同居する。テレビにラジカセ、ドライヤーまでもあるなんてすごすぎる。そして今ではなんでだろうなブツがペナントだ。ほとんどの家で見かけた気がするが、なぜそこまで昭和人たちをかき立てたのだろうか? 今となっては謎だ。
自分の部屋が持てる日がやってきたことを鮮明に思い出す。とは言え、この表紙のような一人部屋ではなく弟との子供部屋だった。編集後記でも触れたが、我が家は4軒がつながった長屋だった。電気屋のうちから隣は酒屋、大工、写真館と並び、その大工さんに依頼して増築が行われたのである。うれしくてうれしくて、毎日棟梁の仕事を眺めながら、あまり進行のよくない作業に見入っていた。6畳の部屋ができあがり、僕と弟の学習机が設置された。鍵なんかかかるはずがなくふすま一枚を隔てた隣は親の寝室だったから、機密性は極めて低かった。だがそこは、僕ら兄弟のワンダーランドだった。やがてステレオ (電気屋の特権の下請け品で家具調) が設置され、音楽を聴きまくった。ギターの練習に時間を注ぎ込んだ部屋だ。布団に潜り込めば深夜ラジオも聴けたし、テストや受験に向けて勉強も少しだけがんばった。そう、あらためて考えるととても大切な時間を過ごしたことに感謝である。
な〜んて気分を、この一冊で皆さんも楽しんでいただけるはずだ。今日の仕事帰りは書店に寄ってくだされ。ゲットしたらこの週末は、ビールをちびちびと呑りながらタイムトラベルを目一杯楽しんでちょうだい。
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