少し以前に、スパゲッティとパスタの変化についてここでつぶやいた。これとなんとなく似ているのが、今日のタイトルだ。俺たちがガキの頃はアニメなんて言葉は使っていなかった。“テレビまんが” であり、ほとんど連れて行ってもらったことのない「東映まんがまつり」でも “まんが” と言い切っている。東映さんは 1990年に「東映アニメフェア」に改称したとのことだが、もっと以前から言葉としての “アニメ” は使われていた。徳間書店さんが専門誌『アニメージュ』を創刊させたのが 1978年とのことだから、この頃がターニングポイントなのだろうか。
そう、俺たち世代が夢中になった『宇宙戦艦ヤマト』を “テレビまんが” と呼ぶのは、子供心に抵抗があったのを覚えているが、適切な表現としての “アニメ” はまだ浸透していなかったのではあるまいか。『機動戦士ガンダム』あたりから完全にアニメになった気がするが、僕は残念ながらガンダムにはハマらなかった。
小学校の高学年になると、テレビまんがが子供のものなんだと蔑むようになる。本心では観たいのだけど、男として成長したのだから我慢するのだ。だが僕には都合の良いことに3歳下の弟がいたから、付き合ってあげる優しい兄貴として割と観ていた。と、そんな苦労が現代ではいらない。アニメは立派な表現方法の一つとして確立して、大人も楽しめる世界へと華麗なる変身をしたのだ。『風の谷のナウシカ』を初めて観た時の驚きったら強く強く記憶している。劇場で観なかったのが今となっては悔やまれるが、公開されたのが 1984年だからやはりまだ大人の男らしさとはのアホな考え方が邪魔していた。さらに、ブルースにハマっていた髪の長い男が、まさかナウシカの待つ劇場には入れまい。
ガキの頃、少しの迷いがあったのは実写モノで、皆さんはどう呼んでいただろうか。『ウルトラセブン』を “特撮” と呼ぶほどの知識は僕にはなかった。『仮面ライダー』や『がんばれ!! ロボコン』、♪インドの山奥で♪ も、なんとなくテレビまんがと呼ぶのを躊躇していた。
さてさて、同世代諸氏に問う。ベストテレビまんがは何でしょう? 僕は断然、『マジンガーZ』と『ゲッターロボ』を挙げる (マジンガーはご覧のとおり表紙 (vol.26) に起用したほどだ) 。だからだ、東映まんがまつりで「vs」でタイトルされたことにどれだけ血が騒いだことか。が、連れて行ってもらえなかったのさ。きっと多くの同世代諸氏が、当時の劇場で燃えたのだろうなあ。来週月曜日に再開が決まった読者の集い「浅草秘密基地」で肴にして盛り上がることにしよう。