タメ年男の日高勝之さんの編著による『1970年代文化論』が、昨日 青弓社からリリースされ入手した。目次を見るだけでワクワクする。ガキの頃に大嫌いだった 8月31日に向かって宿題に追われるかのごとく、この夏サボり気味だった自由研究の追い込みにうってつけの内容だ。31日までに読了は難しそうではあるが、嫌な癖で、「はじめ」にと「あとがき」をまず読んだ。嫌な癖とはしたが、論書を手に入れる際はまずここで決めるという諸氏は多かろう。著者との相性が論書では重要である。
はじめにでは、’60年代と ’80年代に比べて、1970年代とはどんな変化が起こったかが見落とされがちだったとして、この一冊がメディア文化史の観点から70年代を再考するとしている。そしてあとがきでは、小4から 中1 (早生まれだとしたら中2) まで日高さんが過ごしたイランから、勃発した戦争によって緊急帰国した日本への違和感が綴られている。この貴重な体験からの視点は極めて大きなものだと推測できる。
彼は以前 (2014年) にも『昭和ノスタルジアとは何か』を上梓していて、鋭い昭和論を展開している。この際は、その懐古ブームを戦後文化論として展開していて、秀逸なのは多くの章でコンテンツを引っ張り出して論じている点だ。『ALWAYS 三丁目の夕日』や『プロジェクトX』、はたまた『20世紀少年』までをも引っ張り出している。500ページを超える力作はすべて日高氏のペンによるものだ。今回の『1970年代文化論』では、彼以外の6人の著者も起用し、角度のある展開を狙っている “ようだ” (失礼、前述したようにまだこれからのお楽しみなので) 。
さてさて、取り急ぎリリース情報としての つぶやきなので、みなさんは書店で手に取ってじっくりと吟味していただきたい。はじめにとあとがき、そして目次を見て「これは〜」と思えばレジへゴー!! 夏は自由研究の季節ですからね。