郵便物を出しに行って「がんばるなあ、こいつ」と不意に思ってしまった。愚痴らず奢らず昂ぶらず、ただひたすらに郵便物を待っている健気な姿に感じてしまったのは、山積された仕事に追い込まれている気持ちによるところかな。ありがたいことに、あんなこんなの悪巧みが次々に入ってくる。その度に作戦を練り込むのが僕の仕事ゆえ、とにもかくにも書類作りである。
そんな風に擬人化して見てしまったもう一つの要素は、RCサクセションのアルバム『プリーズ』に収録された 名 (迷) 曲「ぼくはタオル」の影響だ。ハイティーンだった僕を少しずつ虜にしたRCではあったが、凄まじい破壊力の曲で悩まされもした。キヨシローの声にもまだ免疫が低かったから、「キモちE」「よォーこそ」と並び、3大迷曲だった。今なら難しく考えなければいいんだよとアドバイスしてあげるが、まだまだ青いガラスの十代だ。真意はなんなのだろうと考察の旅に出ては、聴いて玉砕するのを繰り返したのが「ぼくはタオル」だ。
知らない方が多いだろうから解説しよう。歌詞はまずタイトルどおりに、僕はタオルなんだと名乗り、汗を拭かれる不快感を示して便所のスリッパと仲良しなんだと告白する。うーむ。続いて僕はカエルになる。雨に浮かれていたところ、車にひかれてしまう悲哀を歌う。そして続いてはスメル (臭い) になり、単語と意味の双方ひっかけなのかスルメになる。カラカラに干されて最後にはとんでもないオチがついてくるのはここでは内緒にしておこう。なんじゃそりゃーとご興味を持った方は、ネットですぐ聴けるからぜひ検索してみてくれ。激しいのがお好きでない貴兄はやめておくがよかろう。
で、この角度で考えるとかわいい赤いポストにも悲哀が感じられてくるじゃないか。な~んてまたまた考察の旅に出てしまう。♪僕はポスト お日様に照らされて 風にさらされて ただひたすら待っている 葉書、封筒、荷物、葉書、封筒、荷物♪ってか。
やっぱり言えるのは、RCサクセションと多感な頃に会えたことの幸せと感謝だな。かつて僕はこんな表紙 (vol.11) で勝負したことがあり、『昭和40年男』初期の作品としては大きな反響を呼び、勢いがついた号である。これにも深く感謝である。