58回目の夏を盛り上げようと、久しぶりにこの3枚を通しで観た。この2日間は寝不足である。ヘンドリックスのことで先日つぶやいたのが、53年前の開催初日だったから火がついた。この日はウッドストックでのヘンドリックスに酔うつもりだったが、せっかくだったらオープニングから大トリまでしっかりと追いかけて彼の心を感じようとトライしたわけだ。
数あるウッドストック関連のDVDの中でも、これは3日間の演奏が順番で観られるのが秀逸だ。権利関係なのだろうか一部観られないミュージシャンはいるが、映画にはない演奏が多くて楽しい。混乱のドキュメントや回顧インタビューなんかも入れ込んであり、作品としての『ウッドストック ~愛と平和と音楽の3日間』に対して、記録フィルムとしてとらえている。
オープニングはリッチー・ヘイヴンスで映画と異なる曲から始まって、外せない即興ナンバーの「フリーダム」も入っている。初日のドタバタをしっかりと感じられるうえ、男女が服を脱いでいく様がしっかりと映し出されていたり、川で泳ぐ姿などは映画よりどぎついかもしれない。そして15日のトリは、ジョーン・バエズのアジテーションと美しい歌声に、ウッドストックの何たるかを強く感じさせられる。涙なくしては観られないのは、映画バージョンと同様だ。
2日目の16日をプッシュプレイする。前日は多くのミュージシャンが予定外の演奏だったり、ウッドストックに住んでいるから駆り出されたなんて演奏が多かったが、この日と翌日はプログラムされている感じが強くなる。まだ新人どころか、世にレコードがリリースされていない時点でのサンタナの演奏は、何度観てもすごい。映画と同じ曲なのだが、この凄まじいまでの演奏はデビュー前と40万人の観衆のエネルギーのぶつかり合いから生まれたものだ。これまた何度観ても狂わされる。マウンテン、スライ&ザ・ファミリー・ストーン、ジャニス・ジョプリン、ザ・フー、ジェファーソン・エアプレインと続き幕を閉じた。
ジョー・コッカーで始まる最終日は、ウッド・ストック在住のザ・バンドも登場している。サンタナの奇跡を前述したが、誰も彼もが持つ力以上を演じているように感じさせられる。まさに、愛と平和と音楽が織り成した奇跡である。それらを受け取りながらついにヘンドリックスの登場を迎えるのだ。映画版ではアメリカ国歌の次に「パープル・ヘイズ」になっているが、こちらでは即興演奏が披露されている。このスーパーテクニックがあるから、一昨日の書き込みにあった「あの時代にたまたま地球に来ていた宇宙人」なのである。大満足の約5時間に及んだ鑑賞だった。世界最高のフェスは未来永劫これをおいて出るまいと、あらためて強く強く胸に刻みこめた。お気軽ながら、この夏のおもひでに加わったのさ。