ホンダは、250ccオフロードモデル『CRF250L』を5月14日(月)に発売する。
現在、不整地走行を公道上で楽しめるモデルとしては、同社の『XR230』の他、ヤマハの『WR250R』、カワサキ『KLX250』などが国内ラインナップされている。しかしながら、二輪全体の国内販売が振るわないせいもあり、以前と比べると新車で購入できる車両が少なくなっている。実際、スズキのラインナップは現在なくなっており、年々選択肢が減っているという状況にある。『XR230』はエントリーモデルに位置付けられたモデルであり、久々のホンダ本格オフロードモデルとして注目されているのがこの『CRF250L』なのである。
本田技術研究所にて、モトクロッサーを含めた市販オフロード系モデル全般の開発を取りまとめている塚本飛佳留氏によれば、「現在も販売を続けているXR230は、フレンドリーな性能を重視した空冷223ccモデルで、これにはこれの良さがありますが、スポーツ性能という点などで考えると、やはりこのタイミングで新たなモデルが必要という結論に到達した」とのこと。
車名には、これまで同社にて公道走行可能な4ストロークエンジン搭載のオフモデルに使われてきた「XR」ブランドから、競技専用車両で使われているオフロードブランドの「CRF」に変更されており、XRと異なる系譜に位置付けれていることがわかる。開発キーワードは「On(日常)を便利に、Off(週末)を楽しむ“ちょうどいい相棒 New On & Off Gear”」。ビギナーからベテランまで幅広いユーザーが楽しく扱えるトータルバランスと操縦安定性を重視したという。
パワーユニットは、ロードモデルCBR250Rと共通となる水冷4ストロークDOHC単気筒エンジン。もちろん電子制御燃料噴射装置が採用されている。DOHCらしい伸びのある出力特性に加え、オフセットシリンダーやローラーロッカーアームなどの低フリクション技術が盛り込まれたホンダ自慢のパワーユニットである。前述の塚本氏は「ロードモデル用に限定されたエンジンを流用したのでは、オフロードでの楽しい走りを実現できるエンジンを開発するのが難しくなってしまうので、最低限の変更でオフロードにベストマッチするエンジンを、CBRの開発陣と協力しあうことで実現」と語っており、単なる流用エンジンではないことがうかがい知れる。
新設計となるフレームは、メインパイプに高剛性化に寄与する楕円断面形状が採用されたスチール製ツインチューブタイプ。フロントサスペンションにはインナーチューブ径Φ43mm、クッションストローク250mmの倒立タイプを、リヤにはアクスルトラベル240mmのプロリンクサスペンションを採用する。スイングアームは高い強度と適切な剛性バランスを確保するアルミ鋳造一体型だ。ハンドル切れ角は左右各45°、燃料タンク容量は7.7Lとなっている。価格は44万9,400円。