親父の命日。

今日は親父の命日である。平成7年のことだった。あの日の朝女房に「なんか胸がざわざわするんだ」と言った。感じたことのない妙な胸騒ぎがしたことを今もハッキリと覚えている。仕事中に母親から電話が入り急行したのは、日医大の救急救命センターだった。静脈瘤破裂でその夜息を引き取った。17年も経ったのだな。生きていたら今年80歳を迎えていた。

もっと親孝行したかった。早い結婚で孫を見せてやれたのが唯一の孝行で、あとはほぼ親不孝者だった。電気屋を営んでいたから、事業を興したバカ息子をいつも心配していた。「会社はどうだ?」。会うたびに、心配そうに言われた。ミュージシャンを目指すといったときに、まったく反対せずに応援してくれたのは今でも感謝している。もっと酒を酌み交わしたかった。聞いてみたいことが山ほどあったのに、あまりにも早く突然だった。戦中の話や電機メーカーとの契約とか、お袋との恋愛などなどもっともっと聞いておけばよかった。僕のような後悔をしないように、生きているのならばガンガン呑んだ方がいいですよ。僕も残ったお袋孝行には努力したいところだ。

今日は旅先から手を合わせる。なんとかやっているからさ、もう心配しなくていいぞ。そういってもきっと無理なんだろうな。親ってのはいつまでたっても親だから、天国に行っても心配ばかりなんだろうな。ならば、今日のところは旅の無事を祈ってくれ。

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