彼らが昭和41年の今日に来日したことにちなんで、6月29日はビートルズ記念日とのことだ。ここのところ付き合っていないNHK朝の連ドラで、現在のところ僕にとっての最後の作品が、かわいいかすみちゃんが主演の『ひよっこ』だった。ここでビートルズ来日の喧騒を描いていた。が、当時夢中になっていて、今も敏腕プロデューサーとして活躍する方に聞いたところ、高校のクラスでビートルズに夢中になっていたのはかなりのマイノリティだったとのこと。後の伝説によって、初来日がやや盛られているのだろうか。ただ、敗戦によってイデオロギーの対立が強かった当時に、日本武道館で演奏したことはかなりのエポックであり、ロックなるものを日本国家が認めたことになると考えれば、旗日にしてもいい今日だ (笑) 。
僕にとってのビートルズを一言で表現すれば、「あーっ、もったいなかった」に尽きる。ロックミュージシャンを目指したわけで、その成長期に僕はよりによってビートルズを否定したのだ。同世代の奥田民生さんや斉藤和義さんなんか、後追いながらビートルズの洗礼を受けた。もし、彼らが僕のようなあまのじゃくだったら、多くの曲で見せる巧妙なアプローチは別なものになっていただろう。リアルタイムで影響を受けただろう、桑田佳祐さんやラジオでご一緒させていただいている杉 真理さんなんかもそうだ。みんなみんなビートルズを愛している。それも、音楽的センスを吸収しやすい10代にして積極的に取り込んだのだ。僕はといえば、高校生になってやっとそのすごさを知ったのだから、そもそもミュージャンとしてやっていくセンスがなかったとも言えるぜ、とほほ。
なぜか? 今さら恨みつらみを言っても仕方ないが、すべては中学の時の音楽の授業でのことだ。洋楽に興味を持ち始めて、ラジオから流れてくる英語の歌を片っぱしから録音しては吸収しようとした。その多くがそれまで聞いたことのない刺激的なもので、ビートルズも決して嫌いでなかった。まだロックとは何ぞやなんて語れないが、悪い香りがするのをなんとなく好んだ。そんな折、音楽の先生が授業にラジカセを持ち込み、突如ビートルズを聴かせたのだ。当然ながらガラスの10代は反発する。わかってないくせに「こんなのロックじゃねえ」と烙印を押してしまったのである。中1だった13歳からセブンティーンくらいまで、この嫌悪感を持ち続けてしまった大馬鹿者だ。そして僕は本来モリモリのソングライターとしての才能を開花させられなかったのさ。ウソ、才能あったら前述のとおりで、むしゃぶりつくように取り入れたはずだ。
目を覚ましてくれたのが『ジョンの魂』の冒頭での叫びであり、修学旅行の夜に友人が「そんなに毛嫌いせずに聴けよ」と小型ラジカセでプッシュプレイしたアルバム『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』だった。楽曲がおもちゃ箱のように飛び出してくる展開に、せっかくの夜だってのに女の子の部屋にも行かず世界に入り込んでしまった。今もお気に入りのアルバムで、マイベストを挙げろと言われればこの想い出も手伝ってこれだろうな。とまあ、そんなおもひでに浸りながら、今宵は『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』をじっくりと聴くことにしたい。カンパーイ、ビートルズフリークたちよ!!