アメリカの音楽専門誌ローリングストーンは、ミュージックシーンにまつわる様々なベスト100を発表している。アルバムやシングル、ギタリストなど、どれもおもしろく見ていたが、なんと2008年にボーカリスト版も発表されていたのを今日まで知らなかった。次号の企画で調べものをしていたところ不意に発見して、狂喜乱舞してしまった。ローリングストーン誌の編集者や大物ミュージシャン、プロデューサーなどいわゆる専門家179人の投票によるものだそうで、これも興味深いランキングになっている。ミュージックフリークとしては今さら情けないものの、せっかくこんなにも上質なネタを目の当たりにしたのだから、100位から上へとゆっくりと追った感想とワガママな私見を述べたい。
まず99位にいきなり中学時代からのアイドル、スティーヴン・タイラーだ。うーん、この順位は少々低く感じてしまう。ギタリストやアルバムランキングもそうだが、後に与えた影響の大きさが重要なファクターとなって順位が上下する。史上最も偉大なシンガーとのタイトルであり、アメリカで最も権威のある音楽誌が発表する、専門家たちによるランキングだからこの傾向は仕方ないかな。
ジョー・コッカー、B.B.キング、カレン・カーペンターなんてそうそうたる連中を抑えて91位にザ・バンドのリヴォン・ヘルムがいるのは、ファンにとってはなんともうれしいがやや上すぎる気がする。そして同時に期待したのはザ・バンドのナンバーワンヴォーカリスト(これこそ私見炸裂!!)、リチャード・マニュエルはどこら辺にいるだろうか? そんな風にワクワクしながらさらに追いかけていくと、さすがアメリカの雑誌だね、ウィリー・ネルソンが88位だよ。こっちでいえば北島のサブちゃんのような存在か? そのお隣87位にドン・ヘンリーがいるのもちょっぴり高すぎるかなと違和感があった。不朽の名作『ホテル・カリフォルニア』を生み出したシンガーだからと納得するべきかな。
さらに上へと上っていくとキターッ!! 85位には17歳の夏に横浜スタジアムで見たサム・ムーアだ。RCサクセションとのジョイントライブでのパフォーマンスは強く記憶に残っている。彼のダイナマイトのような爆発力の声は、いつ聴いても圧倒される大好きなシンガーの1人だ。ランキングを追っかけていくごとに偉大なシンガーの名にふれ、意外だったり納得だったりが楽しくて、調べもののことは忘れて夢中になっていた。
82位に酔いどれシンガーのトム・ウェイツが入っている。そうか、こんな上位にいるのはうれしいなとニンマリする僕だ。そして序盤20人のハイライトは永遠のアイドルで、日本公演を観にいき気絶しそうなほど痺れたジョン・リー・フッカーの81位だ。さすがローリングストーン誌だと深く頷いてしまう。そしてここにジョンがいるなら、マディ・ウォーターズとハウリン・ウルフ、ライトニン・ホプキンスがどこら辺にいるかが楽しみになった。
このまま一気に100位まで上ってしまうのがもったいないからと、いったんページを閉じて休憩を入れたほど盛り上がった〆切と格闘中のダメなワタクシです。(続く)