黒川紀章の「中銀カプセルタワービル」惜しくも解体へ… それを見守る最前線アジトに潜入!? 愛すべきメタボリズム名建築の魅力!

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■尽きぬカプセルタワー愛… その原点にはスペル星人がいた!?

それにしても、声さんはなぜ、ここまでカプセルタワーに入れ込むことになったのか?
 
声さん自身は昭和54年1979年生まれだそうで、“昭和トリオ” 世代からするとだいぶお若いんですが、そもそも自分が生まれる前の、昭和40年男お馴染みの特撮作品が大好き。カプセル&現アジトからのDJプレイでも、昭和をテーマに『マイティジャック』や『キャプテンウルトラ』『大巨獣ガッパ』などの曲を好んでかけているとか。
実際、カプセル入居時の諸々から一部を移設してきたアジトの声さんスペースには、その辺りのアイテムがいろいろと並べられていて、中でも公害怪獣ヘドラのソフビが多数。思えば『ゴジラ対ヘドラ』も昭和46年=1971年の公開で、昨年50周年を迎えており、カプセルタワーとまさに同時期に誕生した、時代を象徴するアイコンだったりするんですよね。
 
そんな感性の持ち主が、カプセルタワーにグッときた原点は、『ウルトラセブン』の欠番エピソード第12話に登場するスペル星人… そのアジトとなっていた「百窓」にあるんだとか。

「百窓」は、キューブ状の建物の四方の壁それぞれに、5×5=25の円形の窓が並び、全部で100の窓がある建物。『ウルトラセブン』12話を観たことがない人でも、同じく円谷プロ制作の特撮コメディドラマ『チビラくん』の、チビラくんたち家族の家…と言ったら、なんとなく思い出せるでしょうか? その特異な意匠から、他にも『コメットさん』など様々な映像作品に登場しているとか…。

▲アジトにはレゴで作られた中銀カプセルタワービルも

声さんいわく「もともと “百窓” が好きだったので、カプセルタワーを好きになったのも、幾何学的で円い窓がいっぱい並んでいるところとか、最初は通じるものを感じたんでしょうね」とのこと。

「カプセルタワーとの最初の出会いは、今から20年ぐらい前の上京してきたばかりの頃でした。高速道路をクルマで走っていた時に見えて。でも一瞬で通り過ぎちゃうじゃないですか。“え? なに今の! 百窓みたいな建物なかった!?” って感じでした。その頃は土地勘も全くなかったので、どこにあったのかもわからなくて、幻だったのかな? なんて思いましたね」

それからしばらく経って、あの時に観た建物はカプセルタワーだったのか!とわかり、調べるほどに虜になっていったとか。百窓は ’85年に取り壊されてしまったのですが、カプセルタワーはまだある! そんな気持ちも背景にあったのかもしれませんね。

そして、カプセルタワーの最大の魅力はどんなところか?と尋ねると…。

「初めて見た時にも思ったんですけど、周囲からは浮いてるような、すごく異質な… まるで異次元からやってきたような存在感がありますよね。最初はやっぱりそのインパクトが大きかったですね」

なるほど、上京前は関西で、太陽の塔や、PLの塔 (大平和祈念塔) にワクワクしていたという声さん。ヘドラ好きというのもうなずけますが、フォルムは違えど百窓やカプセルタワーの場合も、怪獣のごとく異形で異質なその有り様に、心をわしづかみにされたようです。

▲右側が声さんのZINE『中銀カプセルタワービルデイズ』

その後、声さんは旦那さんと相談してカプセルの購入を決意。手続きを始めたところで、カプセルタワーの解体が決定してしまったため購入はかないませんでしたが、保存・再生プロジェクトによるカプセルのレンタル企画で入居が実現。夢のカプセルタワーの住人となり… その行く末を見守る現在に至ります。

 
…と、ひとまずサクッと (?) まとめてみたんですが、カプセル入居時のお話や、個人制作の “ZINE”『中銀カプセルタワービルデイズ』についてなど 、まだまだお伝えすべき声さんネタがいろいろとあるもので、その辺りの諸々は追って公開予定の【後編】にて…!
 

■メタボリズムの夢のカプセルは、種子となって未来に花開く

多くのファンに惜しまれつつも、ついに解体工事が始まり、現在の場所からは姿を消してしまう中銀カプセルタワービル。しかし保存・再生プロジェクトでは今後、取り外されたカプセルをリサイクルして活用していくそうで、すでに世界中の美術館や博物館などから多くの問い合わせがあるとか。
 
建設当初の、カプセルを交換して存続…といったコンセプトとは違う形になりましたが、まさに植物が種子を飛ばすように、カプセルタワーから各地へと散らばったカプセルは、そこで根付き、また新たな花を咲かせるのかもしれません。新陳代謝、成長というメタボリズムの理念は、今この時代にアップデートされ、引き継がれたとも言えましょう。

  


それでもやはり「カプセルタワーが今の形で残らなかったことは残念」という声さんですが、その存在の記憶を後世に伝えて遺すべく、最後までタワーの解体、種子となるカプセルの旅立ちを見守り、アジトのメンバーたちとともに発信を続けていくとのこと。

Twitterやツイキャスでは、解体工事開始となった運命の日、4月12日の朝から、現場の様子を随時伝えてくれています。


以前からの中銀カプセルタワービルのファンはもちろん、解体のニュースで興味を持った方も、今どうなってるんだろう… と気になったら、ゼヒ、アジトからの発信をチェックしてみてください!
 
(「昭和トリオ」 “Web担当A” )
 


 
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