さてさて今日もまだまだいくぜっ。愛するかわいい最新号 (vol.72) のご紹介、大編集後記じゃ。
『昭和40年男』の特集としてはちょっと異質のトライとなる、「別れ」をテーマにして4つのセクションで組み立てた。その2つ目を「心に残るリアル」として、ガキの頃より体験してきた大きな別れを、取材や識者を通じて丁寧に取り上げている。そのトップバッターは、長嶋茂雄さんの引退試合だ。
昭和40年生まれにとって、セ・リーグの優勝は生まれてからこの年までジャイアンツしか知らなかった。0歳で知っているというのも変な話だが、偉大なるV9が始まったのが「おぎゃっ」と産まれた年であり、この引退の年に初めての負けを経験した。それだけでなく、長嶋さんの引退から監督就任、そして最下位と凄まじいまでの激変を見させられたのだ。東京都荒川区育ちの僕にとって、野球とはイコールジャイアンツだったし、“ON” だった。その長嶋さんの現役引退を子供ながら目の当たりにし、あの名演説をリアルタイムで聞けたのは今考えればラッキーだったと言える。
今回話を聞かせてくれたのは、あの大舞台となった最終試合のクローザーを務めた横山忠夫投手だ。正直なところ僕の記憶にその名はなかったが、翌最下位の年には8勝をあげて長嶋監督に大貢献している方だ。立教の後輩でもある彼で、現役最後の試合をリアルに、そして間近に感じた証言は価値あるもので必読である。
続いて、山口百恵さんのラストコンサートを目撃した、タメ年ライターの馬飼野のレポートが続く。生でその場に居合わせた者にしか伝えられない、圧を楽しんで欲しい。さらにビートルズをこよなく愛する副編集長・竹部の熱いペンによってビートルズ解散についてが書かれている。去年より配信されて話題の『ザ・ビートルズ:Get Back』から見えてくる別れを、ビートルズ研究家の藤本国彦氏の声を交えて綴った4ページは、ビートルズ後追い世代の俺たちではあるが貴重な内容だ。
さらに続くのは、僕の人生で最も多く見た映画のひとつ『ラスト・ワルツ』からの一コマがメインカットになっている、ロックバンドの解散にまつわるページだ。『ラスト・ワルツ』は、同世代諸氏にとってあまりメジャーな存在でない ザ・バンド 解散のドキュメントムービーで、その時代のビッグネームのミュージシャンたちが一堂に会して、解散フェスティバルのごとく盛り上げたコンサートを中心に構成されている。これについては編集後記でも触れたほど、僕の人生にとって大きな意味を持つ作品だから、こんなカタチで特集に登場したのはビックリした。僕の溺愛ぶりを編集部に意見して成立したわけでないことを断っておこう。さあ、ぜひ書店へと急いでほしい!!