昭和5年創業のレストラン。

 

召し上がったことのない方は、なんじゃこれ? となるかもしれない。皮ごとのジャガイモらしき姿とクレソン、アルミ箔に包まれてパンパンに膨らんだ物体が熱々の鉄板の上に乗ってテーブルに運ばれる。このアルミ箔を破ればジャーン、絶品ビーフシチューがかかったハンバーグが出てくるのだ。

 

客のほとんどと言っていいほどが注文するこのハンブルグステーキは、同店のサイトによると昭和49年に開発された。これを供するレストラン「つばめグリル」の開業は、昭和5年開業とのことだ。戦前だよ戦前。親父もまだ生まれていない昭和にオープンして、今もしっかりと営業している。東京と神奈川でチェーン展開している大箱ながらの心を撃ち抜く家庭的な接客と、昭和でありながらどれもバッチリのメニューが素晴らしく、お世話になることは多い。地味ながら鳥の唐揚げは現在僕にとって世界一で、これほど絶妙に味が染み込んでいてジューシーなのを僕は知らない。4〜5名で行けば、アイスバインをぜひオーダーすべきだろう。

 

品川駅前の店舗がフラッグシップで、かなりの大箱である。ここのおそらく支配人さんだと思われる、俺たちより少し先輩と思しき方の接客が素晴らしすぎる。ちょっとした声がけが温かくて、心のこもった接客が気持ちいいのだ。こうした方がいる店のなんと心地いいことか。同じく昭和香る大型店舗で大好きなのが「銀座ライオン」で、ここのフラッグシップ店にも素晴らしい年上のホールさんがいる。店の歴史を知り尽くした彼の話が聞きたくて、来店を重ねている僕だ。

 

「つばめグリル」を訪れる客層は老若男女じつに幅広く、ここまでとっ散らかっている店というのも僕は知らない。若い女の子が一人で赤ワインを呑みながらハンブルグを食っていれば、シーナさんと鮎川さんのようなギンギラのカップルだったり、小さな子供を連れた家族だったり、かっこいいなあーと惚れ惚れするほど着飾った老夫婦もいる。みんなみんなハンブルグだ (笑) 。世代を超えて愛されているレストランで、安くはないが決してぎょえっというほど高くもない。庶民向けの一流を味わえる。特上の時間を過ごしながらも、先日もつぶやいた「居酒屋・昭和40年男」についつい頭がいってしまう。ここの鶏の唐揚げはラインナップしたいなあ。『昭和40年男』編集長が愛する世界観は「ふーん、こういうのなんだ」と笑ってくだされ。
 

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