雑誌『danchu』と名店水口に学ぶ。

大晦日から元旦にかけての僕の大事業である大量のミートソース作りは、今年は自分史上最高傑作でフィニッシュできた。弟家族やお袋に気前よく配ったら我が家にあまり残っておらず、傑作をちびちびと愛おしみながら食っている。うんうん、うまい。

 

昭和の料理の数々が楽しめる居酒屋を、『昭和40年男』という屋号で出したいという夢をず〜っと描いたままで月日が過ぎている。そしてそこが開店したら、この一皿はの担当で提供するつもりだ。このプロジェクトのメニューを考えているのは楽しいのだが、熟考すればするほど浅草の名店「水口」のラインナップに持っていかれてしまう。完璧な昭和がここにあるのだ。そりゃあそうだ、創業昭和25年の本物だもの。近頃よく見られる演出の昭和でない、完璧なる昭和が醸されていて、おかみさんからしても親しみある昭和らしい看板娘である。

 

ここはナポリタンもミートソースも絶品の昭和テイストである。お気に入りのアジフライはどこまでも軽く、マグロのぶつは大量で供され、ぬか漬けは奥深い。最近見つけた隠れた絶品が麻婆豆腐で、中華ではなく昭和和食な一皿なのだ。ビールもわかってらっしゃり、サッポロの赤星がラインナップされている。もう、ここまで完璧だと僕の構想が安っぽくさえ感じられてしまうが、それでも夢は夢だ。こっちには昭和のコンテンツを奥深く知るという武器がある。これを目一杯活用して独自の店舗にしたいなと、「水口」で昭和料理の数々をいただきながらの妄想時間は極めて楽しい。

 

大好きな雑誌の『danchu (ダンチュウ)』編集長のテレビ番組、『植野食堂』のオープニングタイトルバックが水口のメニュー札がかけられた壁である。「日本一ふつうで美味しい」をコンセプトにする番組が選んだ風景ということになる。これを眺めながら僕はいつも、今日は何をいただこうかと深く悩むのだ。コロナのバッキャローのせいで一人でお邪魔することが多く、たくさん食べられないからなおさらである。まあこれもまたいい時間なのだが、仲間とガハハと過ごす日はいつくるのだろう。もうそう遠くないはずだ。そして僕の居酒屋構想も、コロナが明けたら本格的に取り組みたいところだ。
 

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