弊誌『昭和40年男』のプロレス記事にも度々ご登場いただいている、現役プロレスラー・藤波辰爾さんが、ご自身のデビュー50周年特別刊行として、『藤波辰爾自伝 ROAD of the DRAGON プロレス50年、旅の途上で』(イースト・プレス)をリリース。ジャイアント馬場さん、アントニオ猪木さんの秘話から、自身の苦悩、格闘技ブームなどを振り返り、次世代に伝えたいプロレス論を語り尽くしました。
昭和28年生まれの藤波さんは、現在67歳で12月には68歳を迎えますが、今なお現役という、強靭な肉体の持ち主。昭和40年男にとっては、まぎれもなく憧れの兄貴的な存在です。そんな藤波さんですが、デビュー当時はプロレスラーとしては身体もそれほど大きくはなく、自分でも50年もリングに立ち続けることができるなんて想像すらできなかったと、語っていらっしゃいます。
16歳で故郷の大分を離れて日本プロレスに入門し、その後はアントニオ猪木さんに従って新日本プロレスに参加しました。海外での修行を経て、1978年に米・ニューヨークのマジソン・スクエア・ガーデンでWWWF(現・WWE)のジュニアヘビー級の王座を奪取すると、3年ぶりとなる凱旋帰国後にはドラゴン旋風を巻き起こし、一躍時の人となりました。
その後は、ご存じのとおり新日本プロレスの主力として、昭和のプロレス人気を支える大きな役割を果たしてきた藤波さんですが、過去には大きなケガに泣かされたこともありました。そんな時、支えてくれた家族や仲間がいたからこそ、こうして50年間の長きにわたって、現役を続けることができたのでしょう。少年時代にプロレスに憧れ、アントニオ猪木さんに憧れ、歩んできたその道は「プロレスラー以外の人生なんて、なかった-」と言い切れるほどの確たる道だったのです。
藤波さんには、かつて本誌の取材で二度ほどお会いする機会をいただきましたが、その強い男のイメージとは別の、穏やかな笑みと語り口調が印象的なナイスガイ! ドラゴンブームの頃、あまりプロレスを知らないような女性からも熱狂的な人気がありましたが、こういった人間性に惹きつけられる部分があったのだろうということが実感できました。また、現在発売されています『昭和40年男増刊 燃える闘魂 アントニオ猪木』には、2018年の初代タイガーマスク・佐山サトルさんとの対談をはじめ、インタビュー記事が多数掲載されていますので、そちらもぜひご覧ください!
50年…半世紀という長きにわたる現役生活を綴った『藤波辰爾自伝 ROAD of the DRAGON プロレス50年、旅の途上で』は、プロレスファンのみならず、ぜひ多くの昭和40年男世代の皆さんに読んでいただきたい一冊です。心やさしい最強の兄貴、藤波辰爾さんの生きざまは、これから還暦を数年後に控えた昭和40年男たちに感動と勇気を与えてくれるに違いありません。
(『昭和40年男』編集部・まつざき )