久しぶりにヤツと仕事じゃ。ヤツなんて言ったら怒られてしまう、偉大なるレーサーの渡辺一樹選手だ。22歳の時に仕事を通じて知り合った彼も、もう31歳になった。うーむ、10年近くになるとはそりゃあ僕も歳をとったものよのお。カワサキのエースライダーとしてサーキットで活躍していた頃、何十本というバイクイベントでトークショーを展開した。夢を追い、思い切って海外へと旅立ち、縁あって日本のレース界に復帰した。名門のチーム、ヨシムラと契約して全日本ロードレース選手権や世界耐久などを転戦している。
トークショーってのは、グイグイと相手の中に入っていき展開する。それこそ “あしたのために (その1)” の「ひじを左わき下からはなさぬ心がまえで…やや内角をねらいえぐりこむようにして打つべし」のごとく彼の胸に飛び込んだ。真剣に考え抜いて言葉を選んでくれ、その集中力にはいつも敬礼していた。極限でマシンを操るレーサーという職業は、一にも二にも集中力なのだ。先日つぶやいた驚愕の73歳外科医、中尾先生とも通じるほどなのだろう。
その彼と久しぶりにトークショーを展開することが決まった。舞台となるのは僕が会長を務めるバイク乗りからはじめる地球愛護活動「ラブ・ジ・アース」の海岸清掃イベントで、ゲストとして参加してくれることになった。このイベントは、清掃を午前中に済ませて午後はささやかながらステージイベントを行う。ここでゲストトークショーとチャリティオークションやじゃんけん大会をぶちかますのだ。
この進行役、MCはもちろん僕だから、バイク乗りでなくとも『昭和40年男』読者ならばきっと楽しめる。21日の日曜日は家族や友人、恋人と静岡県の牧之原市まで来てちょうだい。海岸清掃そのものは小さな小さな貢献なのだが、大人数で共感を得ながらすることできっと意識が高まる。これがイベントを続ける最大の目的だ。午後のステージイベントも、共感を大きくして家路についていただくことを目的にして僕は吠える。ぜひっ、シンパシーの心地よさを実感しにお越しくだされっ。