職人に学ぶ昭和40年男。

つい先日、練馬で行われたフォレスタのコンサートに出かけてきた。フォレスタはこのつぶやきににはちょくちょく登場するコーラスグループで、ご高齢の方々に圧倒的な支持を受けていて、僕は『昭和40年男』の読者世代にも突き刺したいと悪巧みを進行中だ。日本中をめぐりコンサートを展開する彼らにとって、コロナ以降はその活動に大きな支障が出た。延期や中止、やっとこさ開催に踏み切ったものの客足は鈍い。余談ながら先日、浜松町でよく通っている居酒屋の女将と道端で出くわし「やっとこさ宣言解除になって、さぞ賑わっているでしょう」と声をかけると「全然ダメなのよ」と意外な答えだった。若い客層でない店で、来てくれるようなお客さんは在宅になってしまっているから、連日閑古鳥だとのこと。以前の街に戻る日が来るのだろうかと不安がっていた。

 

空席が目立つホールだったが、拍手や手拍子はそれを埋めるほど熱かった。そんなお客さんにリーダーの大野は「やっと光が見えてきた」と口にした。僕に言わせれば快晴のピーカンだぜなのだが、繰り返したリバウンドもあるが、しかめっ面した専門家とやらの「第六波」というセリフが心の解放に釘を刺すのだ。彼ら多くの口によると、今頃東京では毎日1万人以上が感染しているはずではなかったか? 2万人もあり得るとほざいたのも聞いたぞ。2桁を予想していた専門家や情報バラエティを僕は知らない。そんな状況だからだ、この熱のこもった拍手は待ちわびた人々の心の渇きであり、コロナから脱したいとの叫びにも聞こえた。

 

で、なんでこの写真なのかとなるが注目すべきは2点ある。緞帳のステージ側にこの文字があるのをよく見かける。火が出るわけないじゃんと見つける度に笑っちゃう僕なのだが、きっと何かあるのだろうな。ネットを覗き込むとほとんどの緞帳にあるとの声が多いものの、理由は拾えない。極めていい加減な推測だが、火事が多かった江戸の歌舞伎文化から来たのではないだろうか? どなたかご存知の方がいたらお教えいただきたい。

 

そしてこの写真のもう1点の注目ポイントは、調律師さんの佇まいだ。この日僕が会場入りしたのは9時半ごろで、すでにピアノの音が彼によってポーンと鳴っていた。背中から集中力を感じさせられつい見入ってしまった。やがてリハーサルが始まり、彼にとってはしばしの休憩を挟んでまた本番に向けて調律作業が始まる。そこまでやるのかと感激する僕だ。妥協なき職人魂がプンプンと香ってくる。再度の作業姿も凛としていてその背中から “何か” を吸収しようとする。何か? いやわかっているのは、仕事に真摯に取り組む姿勢と裏方さんのスピリットだ。それらを吸収しようとする僕のガン見に、本来であれば恐怖を感じるはずなのに彼の集中力は僕ごときの熱視線では乱れないのだな (笑) 。

 

コンサートもすばらしい内容で久しぶりに泣いた。うそっ、しょっちゅう泣いている泣き虫さんなのだが、久しぶりにリアルのライブで不覚をとってしまった。やはりライブはいい。関係者ながら言わせていただくと、やはりフォレスタはいい。てな訳で、まだ聴いていない方々のために、『昭和40年男』読者向けに制作した動画を貼り付けるぞー。何度でも何度でも、観て聴いて楽しんでくだされっ。

 

 

 

 

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